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こうして永瀬正敏さんに触れてみて、彼の映画を観てみたいと思った“永瀬ビギナーズ”の皆さんのために、出演作KINENOTE評点TOP5とKINENOTEチームおすすめの4作を発表!(各作品に対するご自身のコメントも掲載!)まずはここから、永瀬さんの魅力に触れてみてはいかがだろうか。
(父親役・三國連太郎に関して)もうね、撮影中は、三國さんに全然負けていないと思えるんですよ。まだ若くて本当の芝居の怖さを知らなかった、というのもあるかもしれませんが。そんな雰囲気を出していただいたりお芝居をなさったりするんです。普段も大スター、大ベテランの威圧感をいっさい出さず、僕がやりやすい様にものすごく優しく接してくださった。でもいざラッシュを見ると……これはもう逆にこてんぱんにやられまくっているんですよ、お芝居というか、画面の中の存在感で。次元の違うお芝居をされている。“うわぁ、この人本当にすごい人だ! かないっこない”と思った最初の役者さんかもしれないですね。びっくりするくらいでかかったですね。存在もでかいし、お芝居もでかい。“受けのお芝居ってこんなにすごいんだな”と思って。僕はそういう役柄でもあったし、常に“ワーッ!”と攻めているんですけど、たとえばただ背中を向けている中で、一瞬、三國さんが顔を向けるだけで、全くやられちゃう。だから『息子』の現場で、“お芝居ってすごいな”と心から思いましたね。いろいろ教わりました。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
(林)海象さんはオープン・マインドな人なので、撮影前から、撮影中も、撮影後もその場所に入り浸る。そこでいろいろな人から話を聞いたり、実際に会ったりして、面白い話をどんどん自分の中に蓄積させていくんです。だから、映画シリーズに出てくるものはデフォルメはしていますが、実は本当にあった話ばかりなんですね。実際にいたんだけど、今はどこかに行っちゃったとか。麿(赤児)さんがやられた中山刑事みたいな人もいたかもしれないし、宍戸(錠)さんのモデルは実在する日本探偵協会の児玉道尚会長ですからね。僕は特別会員ですけどね(笑)。海象さんはちゃんと児玉道尚探偵養成所の全プログラムを受講して、探偵のライセンスを持っています。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
冒頭、年齢を重ねたふたりの平成の場面から始まるのですが、ヴィジュアル的に、そして演技として、どこまで老いを出せばいいのか、やりすぎてもダメだし、やらなさすぎるとふたりの夫婦としての積み重ねが出ないし、そこを悩みました。ただ、このとき、僕が拠り所にしたのが、山田洋次監督の言葉で、それは“老人の役を老人がさも老人っぽく演じることは間違いである”ということでした。“実際の老人は自分が若く見えるように立ち振る舞う。なので若い役者が演じても正解なんだ”と。その言葉が頭に残っていたので、挑戦できたんです。あるとき、老けメイクのまま、外の喫煙コーナーで煙草を吸っていたら、看護士さんがやってきて、“おじいちゃん。もうここは時間ですから、ご自分のお部屋に戻ってください。たばこの吸いすぎはダメですよ”と注意されたんです。それまでずっと大丈夫なのかな、老人に見えてるかなと自分の中でモヤモヤしていたのですが、老けメイクと気づかれず、入院しているおじいさんとして扱われたことで、“あ、大丈夫かも”とほっとした記憶があります。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
(撮影の篠田昇と照明の中村裕樹のタッグに関して)おふたりの映像は本当に美しいから、その分、準備に時間がかかるんだけど、篠田さんと中村さんのニコニコ顔を見られると思うと、別に苦にはならないんですよね。加えて、花谷秀文さんの美術がすごく面白かったんです。僕とともさかりえさん演じる夫婦の住む家が物語が進行していくにつれ、どんどんと縮まっていくんです。よく、そんな家を作られたと思いますね。あれにはびっくりしました。そんなにバジェットがある映画ではなかったのに、本当にそういうふうに見えていった。あれは美術力ですね。今ならCGで簡単に操作できるんでしょうけど、このときは本当に部屋のセットがどんどんどんどん小さくなっていったんですね。おそらく、人力で、何かを動かして、どんどんどんどんちっちゃくしていった気がします。スタッフの作業を見ながら、“なんか、映画ってすげえなぁ”と、いろいろと思った作品でもありましたね。どこかの地下鉄の駅のシーンで、ホームにいたら、ホームの頭上の電気がひとつずつポン、ポン、ポン、ポンと消えていく。“こういうことをやらせてくれる駅があるんだ! こんな駅を見つけてくるなんて、今回の制作部さんはすごいな”と思ったり、皇居の前でどでかいクレーンを使って撮影したり。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
(卒業式のシーンについて)この場面の撮影に入る前に山田(洋次)さんから、“永瀬くん、卒業式では泣いちゃいけない。泣いたらだめですよ”とクギを刺されていたんです。というのは、“彼らにとっては、この学校が最も守られている場所であり、卒業と同時にそこから世間へと出て行くことになる。本当に大変なのはそこからだから、卒業式では先生として、強くまた笑顔で生徒たちを送り出してください”と説明されていたんです。ところが、卒業式で僕が贈る言葉を滔々と喋るシーンで、ひとりの女の子がすくっと立って、僕のところに来て手を握ったんですよ。もうそれでたまらなくなっちゃって……。“だめだよ、永瀬くん、泣いちゃあ(苦笑)”と言われたんですけど、リハーサルの度に、彼女が同じようにやってきて、手を握るんです。それはお芝居をつけているわけでもなんでもなく、彼女が素直な気持ちで反応していることだから、もう、たまらなくて。だから、我慢するんだけど、彼女が何度も何度も来てくれるから、僕も、何度も何度も泣いちゃったんですね。最後は山田さん、“永瀬くん、だめだよー”と言いながらOKを出してくれましたけど。あれはお芝居を超えるところがありました。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
撮影中に僕らは横浜の大岡川という、当時はもうそれこそネズミの死骸は浮いているわ、異臭はするわで、ものすごく汚かったんですけど、そこにボンボン落とされたんですよ。 それで『ションベン・ライダー』の最終日、坂上(忍)くんとクランクアップのときに、“あの大岡川に絶対、監督を落としてやろう”と喋っていたんです。とは言っても、坂上くんはやらないだろうなと思っていたら、坂上くんが合図として、“あれ、監督、メガネが汚れていますよ”と親父(監督)のメガネを取ったんです。“坂上くんが本当にやった! これは落とさねばいかん!”と思って、僕がバーンと川へつき落したんですね。撮影中はずっとその場所で長い間、撮影をやっていたので、日課のように近所の方も見に来ていたんですけど、その人たちもその日に撮影が終わると知っていて、落ちたと同時に大拍手だったんです(笑)。そのあと、映画の中にも出てくる三吉演芸場の近くの銭湯に、僕と坂上くんと河合(美智子)が入っていたら、親父がやってきて、“おい、永瀬、背中くらい洗え”と。“はい”と洗っていたら、背中越しに親父が“お前たち、本当によくやってくれたな”と、唯一褒め言葉をかけてくれたんです。それを聞いて、僕と坂上くんはもう号泣してしまって……。河合は男湯に入っても全然大丈夫なくらいだったんですけど、やっぱり女の子ということで女湯にいたんですけど、本当はあの場所に一緒にいて、その言葉を聞かせてやりたかったですね。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
(永瀬正敏演じるジュンと工藤夕貴演じるミツコの、濃厚なキスシーンについて)あれね、僕のアイディアなんです。でも、ジム(・ジャームッシュ)は僕のアイディアだと思っていないんです。ジムに提案する前に、夕貴ちゃんに相談したんですよ。“ルージュをこう塗り合いだけしていてもつまらなくない?”って。だから、“こう塗って、キスをしているうちに、ベロベロになっていくのが面白いと思うんだけど、夕貴ちゃんはキス、大丈夫?”と聞いてみたら、彼女が“それ、いいと思う”ってジムに説明してくれたんです。そうしたら、彼の中では夕貴ちゃんのアイディアになっちゃった(笑)。それで僕は英語ができない苦しさをそのときに強く感じました(笑)。今でもジムは彼女のアイディアだと思っているだろうな。でも、わざわざそれを、実は俺がさ、と言うのも変かなと思って(笑)。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
本来なら10日間の撮影のうち、野村の家は前半で全部撮り終えなくちゃいけなかったんですけど、僕としては物語の後半に、野村が廃都のような混沌の世界に迷い込んで、ヒロポン中毒に陥らなくてはならない。そのためには、演じるために、精神的に追いつめられなきゃいけないと思っていて、衣裳合わせのときから、難しいだろうけど、できれば前半部分と後半部分を分けて撮影していただければというお願いをしたんですね。もちろん、美術のセットの問題が関係してくるので、無理だったらいいですとは伝えたんです。すると井上(淳一)監督が磯見(俊裕)さんにそのことを伝えてくれて、磯見さんが撮影所にかけあって、10日間の撮影の中でなんとか前半と後半の間に四日間のブレイクを設けてくれたんです。これは江口(のりこ)さんにも感謝しているんですけどね。だから江口さんの単独の場面は撮影の前半に撮っておいて、僕との部分は後半に撮ることになった。ただ、四日間いただいちゃったがゆえにこれは半端なことできないと思って、まあちょっと、四日間で七キロくらい体重を落としました。ヒロポン中毒にはなれないので……せめて少しでも観ていただく方に違和感なく見ていただきたくて。そもそも、(坂口)安吾さんに対しても失礼のないようにと思っていたし。貴重な四日間をいただきました。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より
今回、(林)海象さんは現場でポジティヴオーラがすごく出ていて、そこが一番変わったところかな。これは僕自身にあてはまることなんですけど、今現在に、“未来の人たち”と一緒に仕事ができる幸せ感といいますか。『彌勒』に関わった学生スタッフたち、彼ら彼女たちは、今後の日本映画界や映像界を背負って立っていってもらわなければいけない人たちじゃないですか。そこの接点が、未来じゃなくて、今現在にあり、今後、また未来で繋がるかも知れないというのは自分にとってもすごく大きかったし、海象さんにもいっぱい娘と息子ができていて、その子たちをはばたかせることに邁進(まいしん)している。海象さんの優しく大きなオーラが現場を包んでいて、素敵でしたね。僕、入る前はもっと、大学の映画研究会的な、子どもチックな現場を想像していたんですけど、彼らは全然そんなところがなくてね。僕はほかの大学の映画学科がどういうところかは知りませんが、京都造形芸術大の学生スタッフたちは自分たちの学科にすごく誇りを持っていたし、俳優コースの子がカメラや照明をやっていたり、いろんなことを率先して手伝いに行くんですよね。その姿がすごく良くて、プロの人にも見てほしい現場だよねと思うくらい、いい現場だった。俳優になって三〇年目で、そんな現場に出合えるなんて、自分の原点返りみたいなところもありました。『アクターズ・ファイル 永瀬正敏』より