〈第一部 真鍮の砲弾〉13歳の少年・江美留(土村芳)の友人たちが、科学者や詩人、哲学者という将来を夢みる一方で、江美留だけは自分の将来がはっきりと分からないでいた。そんなある日、少年の一人が突然自殺してしまう。その死を悼んだ彼らは、丘の上にある天文台へと出かけていく。大きな望遠鏡を覗く老天文学士(四谷シモン)に「そこから何が見えるのですか」と尋ねると、老天文学士は少年たちに「教えてくれないか、僕たちは何処からきて、何処にいくのかを」と尋ね返すのだった。その答えを探そうとする少年たちの心は、いつしか宇宙をみていた。江美留は一冊の本の中に、彌勒の写真を見つけ、そこには「五十六億七千万年後に、人類全てを救済するもの」と書かれていた。江美留はその閃きとともに、作家になることを夢みて小説『ポン彗星から来た夢』を書き始める……。〈第二部 墓畔の館〉それから十数年後、青年・江美留(永瀬正敏)の人生は、夢とは真反対の地獄にいた。少年時代の自分の夢と決断は本当に正しかったのか。苦悩に陥り、奈落の底にいる江美留の前には度々、鬼(井浦新)が現れ「おまえの目指す人間とは何か」と問いかける。果たして、江美留はその答えを見つけ出すことができるのか。そして、少年期にみた彌勒の姿とは……。