いつの時代も根強い人気を誇る医療ドラマ。ヒットすると長寿化しやすいこのジャンルだが、それだけにライバルも多い。そんな医療ドラマの中で、今注目したいのが『ナイトシフト 真夜中の救命医』だ。ドラマの主人公となるのはテキサス州サンアントニオにあるサンアントニオ記念病院の救命救急室の夜間勤務医たち。医療スキルは抜群だがトラブルメーカーでもある元軍医ＴＣ、彼の親友である外科医のトファー、ＴＣの元カノで夜間当直の主任医師である生真面目なジョーダン、正義感の強い元衛生兵ドリュー、高名な脳外科医の父を持つ研修医のポール、同じく研修医のクリスタ、ジョーダンの恋人でもある外科医スコット、さらに規律にうるさい事務長ラゴーサといった個性豊かな面々が、かつぎこまれる急患たちを相手に命の現場の最前線で日々奮闘する姿を臨場感たっぷりに描き出していく。

医療現場の医師たちのアンサンブルを描くのは、メディカル・ドラマの定番だが、舞台となるサンアントニオには空軍基地があり、基地の町とも言われている。そんな土地柄を反映し、ドラマに登場する医師の多くが従軍経験のある元軍医というのが特徴的だ。器具も薬も満足にないような戦場で、その場にある道具と機転で多くの命を救ってきた彼らは、そのスキルを病院でも大いに発揮。これまでの医療ドラマより型破りな診療方法がふんだんに登場するのもこのドラマの魅力となっている。一方、型破り故に事務方とは衝突する事もしばしば。そうしたぶつかり合いは医師同士でも同様で、元軍医が多いだけにその関係性はダイナミックでエネルギッシュな医療現場となっている。彼らの戦場での経験はキャラクターにも大きく影響。ＴＣの抱えるＰＴＳＤや戦場でのエピソードも随所で描かれ、医療ドラマとしてだけでなく、戦場を描いたヒューマン・ドラマとしても見応えのあるものになっている。海外ドラマでおなじみのキャストが多いのもファンには嬉しい一作だ。