アメリカ合衆国国土安全保障省が密かに建造していたタイムマシンがガルシア・フリンという男に盗まれる。タイムマシン建造に関与したメーソン社と国土安全保障省は、歴史学者のルーシーと米軍特殊部隊所属のワイアット、それにタイムマシンに精通した技師のルーファスを招集。残されていたタイムマシンの試作品に乗ってフリンたちを追跡し、彼らが過去の歴史を書き換えることを阻止する任務を与える。フリンたちを追って１９３７年のヒンデンブルク飛行船爆発事故や、１８６５年のリンカーン大統領暗殺、あるいは１８３６年のアラモの戦いや、１９７２年のウォーターゲート事件といった歴史的事件の数々に遭遇するルーシーたちは、過去を変えることによって達成しようとするフリンの企みに迫っていく……。

タイムトラベルものの楽しさの１つは、現代世界に生きる主人公たちが過去の時代に放り込まれて戸惑う様子を見るところだろう。『タイムレス』でも、18世紀の南部では黒人であるルーファスが白人のルーシーやワイアットと敵対していると勘違いされたり、60年代のNASAではルーシーが男性スタッフにコーヒーを淹れるよう上から目線で言われてキレたりといった時代のズレから生じる誤解に、主人公たちが振り回されるところがコミカルに描かれる。さらに、ヒンデンブルク着陸時の現場を仕切っていた航空関係者にいきなり名前を尋ねられたルーシーが、ワイアットを指して「こちらはドクター・ドレー、私はナース・ジャッキー。私たちはジェネラル・ホスピタルから来ました」と答えてＴＶの見過ぎだろとばかりにワイアットが呆れ顔になったと思えば、後に００７シリーズを書いたスパイ時代のイアン・フレミングに出会ったワイアットが、スターに憧れる少年のように目を輝かせたりするといったウィットに富んだシーンが多いのも嬉しい。