伊達秀吉(高橋克典)38歳。仕事も金も家もない。あるのは借金と前科だけ。何をやってもうまく行かず、自殺を思い立つが、それも失敗。どこまでも惨めな秀吉の目の前に、少年、伝助(林遼威)が現れる。聞けば、遠くに見える庭の大きな屋敷から家出してきたという。わずか6歳にして携帯電話を持つ、全く面識のない少年。秀吉は、人生最後の賭けとして、伝助を誘拐して身代金を手に入れることを思い立つ。伝助には“家出を手伝ってやる”と告げて。電話で身代金の要求を受けた伝助の家は大騒ぎとなる。黒服を着た屈強な男たちが広い屋敷の中を行き交い、秀吉の車を携帯電話のGPS機能で追跡する。その位置が近くだと知った男たちは、大掛かりな捜索を開始。だが、彼らの姿はどう見ても警察とも普通の家族とも思えなかった。要求された身代金は5000万。受け渡し場所に指定されたファミレスに黒塗りの車が何台も向かう。身代金とともにファミレスに呼び出される伝助の父親、篠宮智彦(哀川翔)。だが、そこに秀吉は姿を見せず、車で駅に向かい、電車に乗るよう指示される。イラつく智彦に秀吉が出した指示は、“電車の窓からカバンを投げろ”。そこで待ち受けていた秀吉は、大金を手にして夢中で走り出す。だが、その目の前に突然、コワモテの男たちが現れる。危機一髪のところで男たちの追跡をかわすが、そこでようやく秀吉は、伝助の父が地域最大級の暴力団、篠宮組の組長だったことを知る。手にした金よりも自らの命を守るために始まる必死の逃亡劇。その頃、篠宮組のただならぬ様子をじっと見守っていたのが警部補の黒崎(船越英一郎)。日ごろから組の動向に目を光らせていた黒崎は、その動きを追ううちに、彼らが血眼になって捜しているのが秀吉であることを突き止める。追われる、追う、さらに追う…。男たちが最後に行き着く先とは?