北海道旭川市にある旭山動物園。小さい頃からいじめられっ子で、昆虫が大好きだった青年・吉田(中村靖日)が、新人飼育係としてやってくる。彼を迎えたのは、懐が大きく情熱あふれる滝沢園長(西田敏行)をはじめ、ベテラン飼育係たち。だが、長らく園の経営状況は不調が続いていた。客寄せめのために設置されたジェットコースターには沢山の客が列をなすが、同じ敷地内の動物園は閑古鳥が鳴く。 その上、“動物園廃止”を叫ぶ動物愛護団体への対応、施設の修繕費用すら市から得られないなど、状況は切迫。そんな中でも、危機感を持った滝沢園長は園を立ち直らせるべく、日々奔走していた。その手始めに、飼育係に客の前で動物の魅力を解説させる“ワンポイントガイド”を開始し話題を作る。次に、客に夜行性動物たちの姿を見てもらう試み、“夜の動物園”を始めるなど、次々と新しいアイデアを繰り出し、自分たちの手で動物の素晴らしさを伝えていく。やがて、かつて愛護団体の1人として乗り込んだ獣医学部の学生、真琴(前田愛)が園に興味を持ち、新メンバーとして加わる。こうして園は次第に活気を取り戻していくが、敷地内に侵入したキタキツネが原因で、ゴリラのゴンタがエキノコックス症に倒れる。検査の結果、職員も動物もみな陰性だったが、この感染症の事実をマスコミに発表すると、たちまち世間は大騒ぎ。再び閉鎖の危機が訪れる。だが、滝沢園長と仲間たちは旭山動物園の存続を市民に直接呼びかける行動に出るのだった。翌年4月。なんとか廃園はまぬがれたものの、相変わらず客足は伸びないまま。だがその頃、幸運をもたらす出来事が。新しく就任した平賀市長(萬田久子)が滝沢園長の提案に興味を示してきたのだ。旭山動物園の人々が続けてきた努力、抱いてきた夢が、ついに大きな実を結び始める…。