東京・築地市場に誕生した小さな食品会社《東輝水産》は、即席麺を主力商品として日本全国をマーケットにする大企業に成長し、アメリカ大陸にも進出していた。しかし、アメリカでのカップ麺の売り上げは、安価なアジア企業に押され頭打ち、工場の再生が不可欠となっていた。創業者でもある社長(津川雅彦)と現地法人の社長(鹿賀丈史)の強い信頼を受け、単身渡米した資材担当の営業マン・川森潔(中井貴一)は、言葉の壁に不安を抱きながらも工場再生に着手する。しかし様々な問題が彼に降りかかる。現地従業員の一時的なレイオフ。大幅なコストカット。旧態に凝り固まった営業担当や工場長など古株の社員との対立。アメリカ人の嗜好に合う新たな安くておいしいカップ麺の開発。工場のスピードアップ化や新規オイルの導入……。川森の奔走や工場スタッフの努力の甲斐があり、新規開発された《レモン&チキン味》の評判は上々で、全米から注文が増えていった。しかし工場が軌道に乗り始めた矢先、川森は全幅の信頼を寄せていた女性部下からセクハラの嫌疑をかけられ、水面下では会社の買収工作の不穏な動きなど、波乱の連続だった。日本に残してきた妻(大塚寧々)の悩みや病気にかかった息子の問題も、川森に襲いかかる……。