京都。歴史の古い小さな花街・下八軒は、舞妓がたった一人しかいないという大きな悩みを抱えていた。ある節分の夜、八軒小路のお茶屋・万寿楽に一人の少女・西郷春子(上白石萌音)がやってくる。春子は、女将の小島千春(富司純子)にどうしても舞妓になりたいと懇願するが、どこの馬の骨ともわからない少女を老舗のお茶屋が引き取るはずもない。しかし、そこに居合わせた言語学者の“センセ”こと京野法嗣(長谷川博己)は、鹿児島弁と津軽弁がミックスされた春子に興味を持ち、老舗呉服屋の社長・北野織吉(岸部一徳)に「春子を一人前の舞妓にしたら自分に褒美をくれ」とけしかける。晴れて万寿楽の仕込み(見習い)になった春子だが、厳しい花街のしきたり、唄や舞踊の稽古、そして何より慣れない京言葉に戸惑い、何もかもがうまくいかない。芸妓の豆春(渡辺えり)や里春(草刈民代)、舞妓の百春(田畑智子)たちが心配する中、センセの弟子の大学院生・西野秋平(濱田岳)から「君には舞妓は似合わない」と言われ、ついに春子は声が出なくなってしまう……。