太平洋戦争末期。1944年6月。陸軍歩兵第18連隊、大場栄大尉(竹野内豊)は、日本から2000キロ余り離れた北マリアナ諸島サイパン島へ送られる。当時日本の統治下にあったこの島は軍司拠点としても重要な位置を占めており、島を死守することが大場たち日本陸軍43師団守備隊に課せられた最大の使命だった。だが、この時点で既に日本の劣勢は明らかになりつつあり、サイパン島でも圧倒的な兵器・兵力差のもと、日本軍はアメリカ軍の上陸を簡単に許してしまう。サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令の後自決。アメリカ軍の捕虜となることを恐れた民間人が次々と崖から飛び降り自殺する悲惨な事態へと発展する。そんな中、玉砕命令を受けた大場隊も突撃、次々と戦死を遂げていく。しかし、アメリカ軍に囲まれた大場は玉砕を覚悟していたにも拘らず、思わず死体の中にうずくまり隠れ、戦闘の中で自分の“生”への執着心を心ならずも知ることになる。そして、両親を殺され放り出されていた赤ん坊を救い、“生きる”ということを強く実感、もともとは地理の教師でもあった彼の人望を慕い、上官を失った兵士や民間人たちが次々と集ってくるのだった。その後、軍から離れ戦うやくざ者の一等兵、堀内(唐沢寿明)と共同戦線を張り、サイパン島中部にそびえる最高峰タッポーチョ山に潜み、アメリカ軍への抵抗を続けていく。一方、サイパン島占領宣言を行ったアメリカ海兵隊の中で、日本への留学経験のあるハーマン・ルイス(ショーン・マクゴーウァン)は、一抹の不安を感じていた。やがて彼らは、粘り強く戦い続けるたった一つの部隊に翻弄されていることを知り、その神出鬼没の部隊を統率する仕官を畏敬の念を込めて“フォックス”と呼ぶようになっていく。大場隊とアメリカ軍の戦いは続き、フォックスの存在に業を煮やした上層部が遂に大掃討作戦を敢行。アメリカ軍を翻弄し続けるフォックスに対し、ルイスは彼を死なせたくないと焦燥する……。