古びた一軒家に暮らす30代独身女性のルイ(坂井真紀)と叔母のトバちゃん(加賀まりこ)。トバちゃんは生まれてすぐに母親を亡くしたルイの母親代わり。今日も夕食の支度を始めると鶏がらスープのいい匂いが漂ってくる。だがある日、トバちゃんが還暦を前に恋に落ちて、突然家を出て行ってしまう。独りになったルイの前に現れたのは、見知らぬ中年男。田中十二夫(藤竜也)、トニーと名乗るその男は、勝手に庭でキャンバスを広げて絵を描いていた。ルイに追い返されても、数日後には再び現れた。その一方で、出版社勤務の親友、奈々子(鈴木砂羽)に誘われ、人気作家、井上豪とのディナーに同席することになるルイ。そこで出会ったのが康介(西島隆弘)。康介に送られて帰宅したルイは、庭から出てきたトニーと出くわす。翌日。ルイが仕事から戻ると、なぜかトニーと康介が仲良く夕飯の準備。鶏がらスープのおいしさに感激した康介が思わず“ここ住んでみたい”と口にすると、“住もうよ”とトニー。こうして3人の共同生活が始まる。ところが、ルイに見合い話が持ち込まれたり、離婚の危機を迎えていたトニーの妻(余貴美子)が訪ねてきたと思ったら、康介が仕事をクビになって帰ってきたりと、てんやわんや。そして、肉屋で働き始めた康介が商店街の人気者になった頃、トバちゃんが北海道から帰ってくることに。そっと出ていくトニー。2人きりで気まずくなったルイは康介と居酒屋に出かけるが、康介から“好きだ”と告白されてしまう。余計に気まずくなった康介が出て行ったところに、ひょっこり帰ってくるトニー。ある朝、ルイはトニーに亡くなった母の話をする。だがそれは、何かを知りたいということではなかった。大切な人たちのぬくもりを感じること。一緒にいた時間や距離に関係なく、大切な人たちはいる。ルイには、小さな頃から元気の素だった鶏がらスープもある。彼女の顔には、柔らかな光が浮かんでいた。