山に囲まれた地方都市で写真館を営む深沢雅仁(竹野内豊)は、身重の妻の慶子(水野美紀)と二人の子供たちに恵まれて、大自然の中、幸福な日々を過ごしていた。雅仁が建てたアメリカン・ハウスには、彼が撮影した家族たちの写真があちこちに飾られていた。しかし、そんな家族の幸せも唐突に崩れる。小学4年生の英治(広田亮平)と幼稚園児の絵里奈(吉田里琴)が二人きりで買いものに出かけた途上、交通事故に遭遇したのだ。生死の境をさまよいながらも、なんとか英治だけは一命を取り留めるが、幼い絵里奈は息を引き取った。子供たちだけで外出させたことを悔いて、自身を責める雅仁。笑顔を忘れたかのように泣き続ける慶子。深く重い喪失感の底に二人は沈む。病室で意識を取り戻した英治も、そんな両親を見て心を痛めた。やがて訪れた退院の日、英治は事故の直後に体験した空中を浮遊する不思議な体験を語ろうとするが、雅仁は悲しげに笑うだけだった。復学した英治は、担任のユリコ先生(小池栄子)やスクール・カウンセラーの福田(小日向文世)と触れあうが、彼の心の傷が癒えることはなかった。そんな英治は、同級生たちと川沿いのトンネルに向かう。幽霊が出るという噂の「死のトンネル」は、英治と絵里奈が交通事故に遭遇した場所にあった。健気に振るまう英治の姿を眺めて、慶子も少しずつ悲しみの淵から立ちあがろうとする。しかし、いまだに雅仁は絵里奈の死を受け入れることができずにいた。翌日、英治が登校していないという連絡を受けた雅仁は、英治が綴った絵里奈への手紙の束を見つける。そこに記された絵里奈への思いを読み、息子の悲しみを汲み取れなかった自身のいたらなさに雅仁は初めて気がついた。英治の行方を探して、再会する父と息子。そして彼らはそれぞれに、ようやく心の重荷から解放される自身を感じていた。