誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<3月リリース作品>

 

生きるために、悪になる。

『ありふれた悪事』

 

  クロックワークスより3月2日リリース

 

(C)2016 TRINITY ENTERTAINMENT CO., LTD. All Rights Reserved

【STORY】                                     荒っぽいが正義感の強い平凡な刑事のカン・ソンジンは、大統領直属の情報機関である国家安全企画部の室長から、連続殺人犯逮捕の裏付け捜査への協力を命じられる。しかし、それは国民の目を欺くための捏造だった―。

 【オススメCOMMENT】                                                                  韓国軍事独裁時代末期の暗い歴史を描いた本作の原題は、『普通の人』。正義が捻じ曲げられていたその時代。悩みのつきない家族を支えるソンジンは、権力の闇に飲まれ、やがてスパイ呼ばわりされてしまうまでに。普通の人が白から黒へ色を変える過程は、その人が善良な分だけ、痛々しさが増す。その“普通”と相反するのは、捜査を捏造し、人々の価値観をどこまでも捻じ曲げる室長の存在。嫌味なほど色気が漂うチャン・ヒョクが演じる彼もまた、必要悪と言わんばかりに不条理を盛り立てる。


 

偽りの軍服を羽織った英雄

『ウォーキング・ウィズ・エネミー
ナチスになりすました男』
 

 

インターフィルムより3月2日リリース

 

(C) 2014 LIBERTY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

【STORY】                                     1944年、第二次世界大戦下。ドイツはアイヒマンの指揮下で、ユダヤ人の一掃作戦を開始する。労働奉仕に収監された青年エレクはナチスの狙いを察して脱走後、ナチスになりすましてドイツ軍の活動を阻止しようとする。

【オススメCOMMENT】

第二次世界大戦下に実在した、“ナチスになりすまして”人々を救った男の話。悪名高き軍服に正義を隠したエレクは、緊迫した迫害の現場でユダヤの人々を救っていく。その先々で目にするドイツ軍の慈悲なき悪行。敵の服を着たまま息を引き取った仲間。心折れそうになりながら、彼らはナチスの活動に反抗を続けていく。ひとりを救うために、数多が犠牲になることを
知りながら、ひとりを助ければ、苦しみがひとつ消えることを信じて。名優ベン・キングズレーの華麗なる登場もお見逃しなく。

 

 

今日は何曜日? 誰の番?

『セブン・シスターズ』

 

ハピネットより3月2日リリース

 

(C) SEVEN SIBLINGS LIMITED AND SND 2016

 

【STORY】                                     政情不安が続き、厳格な一人っ子政策が実施される中、7つ子として生まれてしまったセットマン家の姉妹。ひとり1日ずつ、同一人物を演じることで30 歳まで生き続けてきたがある夜、そんな姉妹の日常が狂い始める……。

 

【オススメCOMMENT】                               一人っ子政策がとられている中、7つ子として生まれてしまった姉妹が毎日入れ替わりでひとりの女性として生きていくという変化球な設定。更に彼女たちの名前もMonday,Tuesday…と言うからその安易さには笑ってしまう。が、この映画、実はめちゃくちゃ面白い。ある日“月曜日”が姿を消したことで話が始まるが、一心同体で長年生きてきたとはいえ性格はバラバラ。そんな彼女たちがいざというときに発揮するチームワークの良さには興奮の連続です。そして最後のオチにはちょっぴり涙も。

 

 

家族のために何ができるのか

『ローサは密告された』

 

ビターズ・エンド/ポニーキャニオンより3月2日リリース

 

(C)Sari-Sari Store 2016

 

【STORY】                                     マニラのスラム街で、本業に加え少量の麻薬を扱うローサは、ある日、密告により夫と共に逮捕されてしまう。さらなる密告や高額の保釈金、恐喝まがいの要求をする警察に対し、ローサたち家族は保釈金作りに街を奔走する。

 

【オススメCOMMENT】                               ドキュメントタッチでマニラのスラム街を映し、抜け出せない貧困とそれをエサにする警察の腐敗を暴いた力強いドラマ。社会派でありながらエンタメとしての面白さも高いレベルで兼ね備えているところが、本作が世界で認められた点だろう。手持ちカメラでスラムの街に入り込んだような迫真の映像が目を奪うが、飽きさせない計算されたカット割り、画作りに感心。明日をも知れない日常でありながら、家族が一緒に生きていくことがかけがえのない、尊いことだとローサの涙は物語っていた。

 

 

血の雨が降るわ降るわ

『蠱毒 ミートボールマシン 

MEATBALL MACHINE KODOKU』

 

 

キングレコードより3月7日リリース

(C)2017 キングレコード

【STORY】                                     優しい性格が災いし、役立たずの烙印を押された取り立て屋の野田。ある日、街が外の世界と遮断された中、謎の寄生生物に戦闘マシン・ネクロボーグにされながらも自らの意思を保った野田は、片想いのカヲルを救うため立ち上がる。

【オススメCOMMENT】                               のっけからグロい映像が出てゲッとなるが、ハマるとたまらない類の作品。監督の好きなモノを詰め込んだ世界が展開。大袈裟でなく何百リットルも血糊を使い画面を赤く染め上げ、ネクロボーグになった者たちはそれぞれ、人間だった時の特徴が反映された凝った作り。主演の田中要次の、いつもと変わらぬ実直な演技は本作の中では貴重な存在だ。あまりにもジャッキー・チェンに似ているヤツがいて楽しませてくれる一方、クレジットを観るまで斎藤工が出ていることに気付かない使い方も◎。

 

 

何が起きているのか。正体は誰なのか。

『パーソナル・ショッパー』 

 

TCエンタテインメントより3月7日リリース

 

(C)2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR 

【STORY】                                     双子の兄を亡くした悲しみから立ち直れずにいるが、セレブのために服などの買い物代行をするパーソナル・ショッパーとして懸命に働くモウリーン。そんな中、ある日彼女の携帯電話に、奇妙なメッセージが届き始める……。

 

【オススメCOMMENT】                               セレブの買い物代行、パーソナル・ショッパーとして働くモウリーン。彼女には霊感があり、亡くなった兄からの交信を待ち続けている……。えっ?! となる物語の始まり。予想外の設定には戸惑うが、彼女の携帯に送られてくる謎の人物からのメッセージ。そしてその人物に翻弄されるモウリーン。そんなサスペンス的な展開にいつの間にか引きこまれていました。そして何より、ボーイッシュな彼女がドレスを着た時の美しさは圧巻。格好良さと美しさを兼ね備えたクリステンの魅力に脱帽です。

 

■前回の誰シネ(2月リリースタイトル)はこちらから

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