広告代理店で仕事に追われる日々を送る“僕”(二階堂智)のもとに、ある一通の企画書が届く。それは、忘れていた20年前の夏を思い出させるものだった。何かに突き動かされるように、その送り主に会いに行く。20年前。バブルの熱気冷めやらぬ頃。適当に就職先を決めた“僕”(森山未來)は、学生最後の夏休みに1人で当てのない自転車旅行に出かけた。いくつも街を超え、気ままにペダルを漕ぎ続けていると、山道でカズオ(新井浩文)が運転する軽トラックに衝突してしまう。幸い大した怪我ではなかったものの、手当てのためにと、旧道沿いの寂れたドライブイン“HOUSE475”に連れて行かれる。そこで出会ったのは、雇われ店長のセイジ(西島秀俊)。自由に生きているように見えるセイジは、普段は寡黙だが心を捉える言葉を持ち、夜な夜な集まる個性溢れる常連客たちからも慕われていた。そんな彼らに強く惹かれた“僕”は、いつのまにか住み込みで働き始める。深い哀しみや不完全さを抱えながらも、必死に生きる店のオーナー翔子(裕木奈江)や常連客たちとの触れ合いの中で、少しずつ“僕”は自分の居場所を見つけ出してゆく。ある時、セイジが常連客の一人、ゲン爺(津川雅彦)の幼い孫娘りつ子に対して特別に心を許していることを知った“僕”の中に、もっとセイジを知りたいという欲求が生まれてくる。ある晩、こっそりセイジの部屋に忍び込んだ“僕”は、古い8ミリのテープを発見。そこには、唯一セイジの過去が垣間見える映像が残されていた。やがて、夏が過ぎて秋の気配が近付いてきた頃。それは、“僕”が現実へ戻る日が近付いて来たということでもあったが、その時、突然事件が起こる。無差別殺人の被害者となったりつ子は左腕を失う大怪我を追い、両親の命も奪われてしまったのだ。心を閉ざしたりつ子。必死に看病をする翔子たち。しかし、りつ子のもとを訪れずにセイジが取った行動とは……。