とある地方の街、舞坂町。旅行会社「ツーリストスカイ」に勤務する北原修路(江口洋介)は、極めてほのぼのとしたこの町が嫌いではなかった。そんな平々凡々なある日の夜。毎月2回発行され、自宅ポストに投函される町の広報紙『広報まいさか』にふと目をやると、町民税の納期や下水道フェアのお知らせに挟まれるようにそれは小さく載っていた。「舞坂町はとなり町の森見町と戦争をします。開戦日は5月7日。終戦予定は8月31日…え?」翌朝、会社へ車を走らせる北原。開戦初日だというのに町はいつもどおりだった。暢気なことに、カーラジオからはレゲエ調の曲が流れている。『開戦12日目』北原の携帯電話が鳴る。相手の声は女性(原田知世)。「わたくし、対森見町戦争推進室の香西と申します。お仕事中に申し訳ございません。送らせていただいた辞令交付式の案内の件でお電話差し上げました」事務的に用件を伝えようとする簡潔さが聞き取れた。しかしさっぱり飲み込めない北原。その夜。いつもの定食屋で食事をしていると、常連客が読んでいた最新号の『広報まいさか』が目に入る。町の人口の増減を書いてある箇所に、『戦死者12人』の文字。帰宅後、散乱している新聞の間から『舞坂町役場対森見町戦争推進室』の封筒を見つけ、早速開き、読む。と、ほぼ同時に携帯電話が鳴った。昼間の女性からだった。「明後日の交付式には御出席頂けますか?」田園の中に立つ、5階建ての町役場。電話を切ったばかりの北原の車が駐車場に停まる。香西という女性に直接会って現状を確認しようとする北原だが……。