夜を徹して80キロを歩き通す高校生活最大のイベント「歩行祭」。最後の歩行祭を迎える高校3年生の甲田貴子(多部未華子)は、人知れず一つの賭けを胸に秘めていた。3年間わだかまった想いを解決するための「秘密の賭け」。それは、一度も話したことのないクラスメイトの西脇融(石田卓也)に、話しかけることだった。親友の美和子(西原亜希)にも、NYに引っ越してしまったもう一人の親友・杏奈(加藤ローサ)にも言えず、貴子はある秘密を必死に隠し続けていた。それは、貴子と融が同じ父親を持つ、血のつながった兄妹だということだ。すっかり夜も更けてゆき、日付が変わった頃、疲れてるはずの生徒たちが皆ソワソワし始めた。「歩行祭」は、数多くのカップルが生まれるイベントでもあるのだ。貴子と融の関係を勘違いしているクラスメイトたちは、二人をくっつけようと応援してくる。友人たちの勘違いとおせっかいが背中を後押しするも、強張った表情しか向けない融に、結局貴子は声をかけられないままでいた。時は過ぎ、残された時間は20キロの自由歩行のみ。先をゆく融の背中はどんどん遠ざかり、何もできないままゴールは迫る。朝日を浴びる頃、どちらからともなく二人の距離は縮まり、貴子はついに融に話しかける。融も、自分たちが兄妹だということは知っていた。長年のわだかまりが静かに溶けていき、貴子にとって最後の「歩行祭」が終わるのだった。