“沖”と“浜”という2つの地域が存在する、ある干拓地。“浜”の人々は“沖”を蔑み近寄ろうとはしなかった。シュウジは両親が自慢する出来のいい兄シュウイチのことが大好きな、“浜”に住む心優しい少年だった。そんなシュウジを取り囲むように起こる様々な出来事と出会う人。“沖”に越してきた“鬼ケン”と呼ばれるヤクザものと奇妙な出会いと突然の死。“鬼ケン”の情婦で、シュウジに性の目覚めを抱かせる大人の女、アカネ。幼い頃、両親を自殺で失ったことで、世の中を斜に見ることしかできない孤独な少女エリとの淡い恋。自らの不貞から弟を殺人者にしてしまったという重荷を背負いながら、シュウジとエリを導く“沖”に出来た教会の神父。やがて、大好きな兄シュウイチが挫折の後に起こした放火事件から、家族は離散し、シュウジの運命の歯車が狂っていく。