桜木高校2年の遠山杏は、ひょんなことから、夏休みの間に同じ学年の片岡徹と撮影したビデオ映画を完成させるよう放送部の顧問・北村先生から言われた。突然オーストラリアに旅立ってしまった徹の残した膨大なテープの編集を始めた杏は、そこに写る自分と徹を見ながら夏休みを回想していく。杏が徹と初めて会ったのは清洲橋の上だった。宇宙人・チュンセにボディジャックされていると言う徹の不思議な魅力にとりつかれた杏は、チュンセから分離したポウセという宇宙人に体を貸すことになり、ふたりは翌日から滅びゆく地球の現状をカメラに収めていく。徹と杏はビデオカメラを持って東京中をめぐった。そんなふたりが撮影したテープの中に、杏は徹が地球滅亡を止められずにひとり悩み苦しむ姿を発見する。そして同時に、絶望の淵に立たされた彼が安息の場を求めて、映画の撮影終了後すぐにオーストラリアへ旅立った真意も知った。気軽な気持ちで撮影に参加していた自分を恥ずかしく思い、杏は映画を完成させるためにカメラを持って街へ飛び出していく。彼女がとらえたのは生命の輝きや愛情にあふれる映像ばかりで、そこには徹がとらえた死のイメージはなかった。そして杏は、滅亡ではなく再生のメッセージを込めて映画を完成させる。ある日、その映画を観た徹がオーストラリアから杏のもとへ戻ってきた。本当のラストシーンを撮影するために浜辺へ赴いたふたりは、いつの間にかお互いの間に芽生え始めていた愛情を感じながら、未来へ向けて明るい想像の翼を広げる。