映画に愛をこめて アメリカの夜

えいがにあいをこめてあめりかのよる|La Nuit américaine|Day for Night

映画に愛をこめて アメリカの夜

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レビューの数

46

平均評点

78.6(270人)

観たひと

411

観たいひと

49

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス イタリア
製作年 1973
公開年月日 1974/9/14
上映時間 115分
製作会社 フィルム・デ・カルロッセ=D・E・C=PIC
配給 ワーナー・ブラザース
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 ヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

『パメラを紹介します』という一本の映画の撮影開始から完了までを、一本の映画の中で描く。製作総指揮はマルセル・ベルベール、監督は「恋のエチュード」のフランソワ・トリュフォー、脚本はトリュフォーとジャン・ルイ・リシャール、シュザンヌ・シフマンの共同、撮影はピエール・ウィリアム・グレン、音楽はジョルジュ・ドルリュー、編集はマルティーヌ・バラークが各々担当。出演はジャクリーン・ビセット、ジャン・ピエール・オーモン、ヴァレンティナ・コルテーゼ、ジャン・シャンピオン、ダニ、ジャン・ピエール・レオー、アレクサンドラ・スチュワルト、ニク・アリギ、ナタリー・バイ、デイヴィッド・マーカム、ベルナール・ムネーズ、ガストン・ジョリー、ゼナイッド・ロッシなどで、劇中劇の監督役としてフランソワ・トリュフォーが出演している。一九七三年度アカデミー外国語映画賞、ニューヨーク批評家賞などを受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

“真実”と“真実らしさ”とはいつも裏と表をなしていて、それを見分るのはむずかしい。ひょっとすると、真実らしく見せかけたものの中にこそ本物の真実はあるのかも知れない。映画がちょうどそれにあたる。今、パリで新作を作っている撮影所の内幕が何よりも良きその見本とはいえまいか--。その映画の監督の名はフェラン(F・トリュフォー)。主演スターは、若手のアルフォンス(J・P・レオ)とベテランの俳優で映画の中では彼の父親役をやっているアレキサンドル(J・P・オーモン)、その妻に扮するセブリーヌ(V・コルテーゼ)そしてヒロインを演じるジュリー(J・ビセット)。ジュリーの夫ネルソン(D・マーカム)は医者だ。二年ほど前、彼女が神経衰弱になったときその治療に当たったのが彼で、それがロマンスのきっかけとなった。一方、アルフォンスは、この撮影隊の見習いスクリプト・ガールのリリアーヌ(ダニ)に夢中だった。結婚を申し込んで彼女も承知してはくれたのだけれど、相変わらず男に取りまかれていて、お陰でアルフォンスは嫉妬に悩まされっぱなしだった。また、アレキサンドルはゴシップをとても警戒していて、私生活はいっさい極秘にしているが、空港に恋人を迎えにいってイライラしていれば誰にだって目立ってしまう。しかもその恋人というのが若いブロンド男ときては……。このほかにも撮影中にはまだいろいろと驚くべきことが起こっている。せっかく撮ったフィルムが現像所のミスで台なしになったり、女秘書役で出演の女優(A・スチュワルト)が大きなお腹をしてわざわざ水着で現われたりしてたちまち妊娠中とバレてしまったりで、監督のフェランはこれらの大混乱を何とか取り仕切ろうと必死だが、その彼にしてからが、いつもセットの片隅で編物をしている女の意味ありげな視線にあてられっぱなし。製作助手を夫にもつこの女は、映画界じゃあ誰でもが誰とでも気やすく寝るものと信じ込んでいて、貞操観念0に近いが、そのくせ自分は人一倍ヤキモチやきときているから仕末におえない。アレキサンドルとジュリーも、撮影が白熱化するとともに、キャメラの前で演じる恋を実生活の中にまでもち込んでしまって、どうやら一時は本物とお芝居の区別がつかなくなったらしい有様。危険な車の暴走シーンを撮るため、イギリス人のスタントマンが雇われてきたのもその頃のことで彼の男性美にリリアーヌはたちまちゾッコン。アルフォンスはあっさりとふられるはめとなった。監督の説明によれば、車の衝突シーンは“アメリカの夜”に撮影するという。撮るのは昼間だが、キャメラのレンズにフィルターをかけると出来上がりが夜に見える。本当の夜よりもよっぽど本物らしく見える。これを“アメリカの夜”と呼ぶのだそうな。アルフォンスが主役をおりると言い出したのはちょうどこの頃だった。愛するリリアーヌが今度は大道具係と草むらの蔭でイチャイチャしているのを見てしまったからだ。そんな、彼の子供じみたわがままを思いとどまらせたのは、何とジュリーだった。気がついたら彼女はアルフォンスの腕の中にいて、二人はその夜、彼のベッドで一夜を共にした。ジュリーが翌朝、夫との別離を決意したのはその夜のアルフォンスとの体験が強烈だったからであろう。ところが、別居声明発表の直前、彼女はまたまた昔の病気がぶり返して神経がおかしくなり、はるばる夫のネルソン博士がとんできて、離婚声明などどこへやら。もっと、ドラマチックな事件がその直後に起こった。アレキサンドルが自動車事故で死んだのだ。一緒に乗っていた金髪の少年も重傷を負った。幸いアルフォンスが背後から父親を殺す一シーンを除いてアレキサンドルの出演シーンは全部終わっていた。どうせ背中を見せるだけだからと、さっそく代役を起用して、無事撮影は終了した。撮影隊が解散するときがきた。ジュリーは夫と一緒に飛行機で帰っていった。アルフォンスは日本でロケされる新作の出演をOKした。TVレポーターがやってきて大道具係にマイクを向けた。“撮影中に何か困難な問題は起きませんでしたか?”という質問だ。大道具係は微笑を浮かべてそれに答えた。“なにもかもうまくいったよ。我々がこの映画を楽しんで作ったように、お客さんもこの映画を楽しんで見てくれれば、それでもう何もいうことはない……”と。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2010年11月上旬号

午前十時の映画祭:「ニュー・シネマ・パラダイス」「映画に愛をこめて アメリカの夜」

2003年5月下旬号

DVDコレクション:「映画に愛をこめて アメリカの夜」

1975年2月下旬決算特別号

特別グラビア 外国映画ベスト・テン:フェリーニのアマルコルド/叫びとささやき/映画に愛をこめて アメリカの夜/スティング/ペーパー・ムーン/ブルジョワジーの秘かな愉しみ/ジーザス・クライスト・スーパースター/黒い砂漠/デリンジャー/エクソシスト

特別グラビア 読者のベスト・テン 外国映画:スティング/ペーパー・ムーン/映画に愛をこめて アメリカの夜/エクソシスト/叫びとささやき/フェリーニのアマルコルド/パピヨン/ジーザス・クライスト・スーパースター/燃えよドラゴン

1974年10月上旬号

今号の問題作:映画に愛をこめてアメリカの夜

1974年9月下旬

外国映画紹介:映画に愛をこめて アメリカの夜

1974年6月上旬号

グラビア:フランソワ・トリュフォ監督 「アメリカの夜」

トリュフォ「アメリカの夜」を語る:

シナリオ:アメリカの夜

1974年4月上旬号

キネ旬試写室:アメリカの夜

1973年8月上旬号

グラビア:F・トリュフォ/アメリカの夜

2024/01/09

2024/01/09

83点

選択しない 


映画製作の舞台裏

映画製作の舞台裏のドタバタぶりを活写した映画愛に溢れたフランソワ・トリュフォーの監督作品。本人自ら出演していて役者としても達者。アメリカから来た女優をジャクリーン・ビセットが演じており、それだけで嬉しい。ジャン・ピエール・オーモンとできちゃうのは腹立ったけど。

2023/05/24

2023/05/24

78点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
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フランソワ・トリュフォー

U-NEXTで見たのだが、本日で配信終了。

15年ぶり5回目の鑑賞。
丸の内ピカデリーの地下、丸の内松竹で見たのは1974年。
過ぎてみると人生など一瞬のようだ。
感傷的になってしまうが。

トリュフォーやジャクリーン・ビセット、出演者は本人としては出て来ない。
別人である。(別名)
そんな中で、電話で完成した曲を流すのはジョルジュ・ドルリュー本人となっていた。

製作の慌ただしさが、そのまま慌ただしいモンタージュになっていて、落ちつかない。
60年代、トリュフォー映画はもっと精緻なモンタージュだったと思ったが。
トリュフォー演じる監督は、現場の総ての相談役になっており、これでは落ち着いて演出構想も練れないであろう。
助監督や他のスタッフにその仕事はしてもらうべきである。
これがフランス映画界なのかな。

トリュフォーがレオに。
「映画は私生活と違って、よどみなく進む。
 言ってみれば夜の急行だ。
 君や私のような者には、幸福は仕事にしかない。」
映画の序盤で。
「映画製作は駅馬車の旅に似ている。
 期待が消え、結局は目的地に着くことだけになる。」
映画の中盤で。
「希望にあふれ撮影を始めるが、難問が続出。
 やがて何とか完成をとだけ願う。
 これではいかんと思う。
 もっとやれる、頑張れ。
 まだ何とかできる。
 全力で作品を生き返らせようとする。
《パメラ》も何とかなりそうだ。
 皆が役に入り込みスタッフの腰も据わる映画こそ王様。」
映画の最後に。
「スタジオの時代も終わった。
 今後の映画にはスターも脚本もない。
《パメラ》のような映画は、もうできない。」
「柔らかい肌」は、もうできないというのだろうか。

*昔、60年代の雑誌「映画の友」に、トリュフォーの「華氏451」の撮影日誌が出ていた。
 主演のオスカー・ウェルナーが他の俳優の演技指導をし始めたりして、頭に来たと書いてあった。
 慣れないロンドン撮影で、《しっちゃかめっちゃか》だったとか。


*ヒッチコックの「鳥」
   ラストは、物足りなくも感じる。
   実は脚本・絵コンテでは、あの後、ロッド・テイラーら4人の車はボデガ湾の町へ行く。
   町は、すっかり壊滅している。
   そして町を出ようとした彼らの車は・・・。
   なぜ映画化しなかったのか?
   製作費が尽きたから。
*デ・パルマの「愛のメモリー」
  ポール・シュレーダーの脚本の半分しか映画化しなかった。
  あの後、二転三転して、作ると4時間ぐらいになったらしい。
  ポール・シュレーダーは、その後、二度とデパルマとは組まなかったそうな。
  どこに書いてあったかな?


ジャクリーン・ビセットが演じる女優ジュリーは、精神不安定で親子ほどの年の差の担当精神医と結婚している。
これはオードリー・ヘプバーンやモンローを思い出させた。
ただしオードリーの二人目の夫は精神科医だが、オードリーは患者というわけではなかったようだ。

現場のアシスタントは、若きナタリー・バイ。
「スタントマンと駆け落ちするとはね。
 私には男より映画よ。」と言う。

ストーリーらしいストーリーがない本作の中で、終盤、あやまちを犯してしまう心優しきビセットが、いい感じ。
「まず映画の完成よ。」とレオに説く。
(ジャン・ピエール・レオの男優の方は、まるで子供だ。)
ビセットは、3階相当の梯子をスタントマンなしで昇る。
(カットなしで、フルに撮ってる。)
上には、トリュフォーが待っているのだが、危険な撮影だ。
またビセットは、フランス語が達者だった。

トリュフォーの許に映画本の小包が届く。
中身は、ブニュエル、カール・テオドール・ドライヤー、ルビッチ、ベルイマン、ゴダール、ヒッチコック、ロッセリーニ、ハワード・ホークス、ブレッソン、「地獄に堕ちた勇者ども」?が表紙の本。

新聞を読み上げるトリュフォー。
「《ゴッドファーザー》は大当りで、あとはさっぱりだ。」

テレビの「映画クイズ」。
ジャンヌ・モローとオーソン・ウェルズの共演。
「フォルスタッフ」、今なら言える。

「市民ケーン」は1941年の公開。
 トリュフォーは9才だった。
 フランソワ・トリュフォー 1932.2.6 ~1984.10.21 52才没







2023/03/27

2023/05/03

80点

VOD/U-NEXT 
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バックステージ

ヨーロッパ映画独特の雰囲気だが全く飽きない。テンポもよくブラックな笑いも利いてる。映画製作の裏側といううか、ヨーロッパ人て全員これくらいのテンションで仕事に携わっているのかと思うと、些か信用できないかもしれない。J・ビセットは本当に魅力的。最近こういう憂いを帯びた美しさのある女優が減ったなあ。

2022/12/01

2022/12/01

80点

購入/DVD 
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映画を愛し映画にとりつかれた人間たちの滑稽なドラマ。フィルムの一コマ一コマに焼き付けられていく虚構の世界が紡がれて物語を形作っていくさまが面白い。

2021/06/08

2021/06/08

-点

レンタル/北海道/TSUTAYA/サンホームビデオ 江別店/DVD 
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タンパクな映画だが悪くはない

トリュフォーが寡黙な映画監督役で出ている、それだけでテンションがあがる。
映画撮影の内幕物というとフェリーニのあれなど思い出された。
トリュフォーの映画に対する愛は伝わってくる。

2021/04/01

2021/04/01

36点

選択しない 
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悲劇的喜劇

全てのアクシデントを映画に。