都内の医大に通う神原雅人(吉木遼)と同級生の恋人・糸永遥(谷村美月)は、ドライブ中に事故に遭い重症を負う。雅人の意識は戻ったが、遥と事故の記憶が全くなくなり、記憶障害と診断され入院生活を送ることになる。遥のこと、事故のことを思い出せない苦しさで次第に精神を蝕んでいく雅人。日増しに精神状態が悪くなる雅人に、友人の亀井健(遠藤雄弥)がTMS治療を提案する。それは鬱の治療にも用いられている「経頭蓋磁気刺激法」と呼ばれる治療法であり、雅人が研究課題として選んでいた精神科の先進治療であった。脳にある刺激を与えることで失った記憶を呼び戻すという仮説を彼自身が授業で発表していたものだが、ある日、その治療を受けた雅人に奇妙な出来事が起きる。写真で見た遥が目の前に立っているのだ。しかし彼女は言葉も発せずただ彼のそばに寄り添っているだけで、雅人以外の者には彼女の姿は全く見えない。そんな中、TMS治療を続ける雅人の鬱症状は次第に改善し、やがて遥の記憶、事故の記憶を取り戻し、遂に全てを思い出す。だがその時、雅人に予想外の真相が待ち受けていた……。