昭和17年。孤児院を脱走した西村アキオ(吉井一肇)は、金平糖を盗み逮捕される。空腹のアキオに、担当刑事の遠山(遠藤憲一)が菓子パンをくれた。初めて口にする甘味はアキオを夢心地にさせるのだった。やがて若松千吉(太賀)、松尾春彦(根岸泰樹)と共に感化院に入れられたアキオは、指導員・伊集院鉄太郎(松村良太)から暴力的な軍事教育を受ける。希望のない日々を救ってくれたのは、教員・陽子(早織)が歌う「お菓子と娘」だった。昭和18年。野田フサノ(いしだあゆみ)の養子になったアキオは家族ができたと大喜び。だが、フサノにとってアキオは労働力でしかなかった。ショックを受けたアキオは家出し、尾上紋三郎(林隆三)率いる旅一座と共に巡業に出る。ようやく居場所を見つけたアキオだったが、戦争という現実が旅一座をも打ち壊してしまう。更に、陽子や遠山までもが空襲で亡くなったと知った時、アキオは戦争の残酷さを痛感し、世の中に絶望するのだった。そして、終戦。大切にしていた沢山の人の死と巡り会ったアキオは、心を閉ざして社会の片隅で生きていた。そんなアキオを救ったのは、彼を支えた“やさしい人の心”と“お菓子の持っている不思議な力”だった……。