19歳のフリーター、小山内剛(浅利陽介)は、知人の死をきっかけに盲導犬訓練士学校へ入学。2年間の研修を経て、准盲導犬訓練士となった剛が、初めて担当する訓練犬はチエだった。生後2ヶ月でパピーウォーカーと呼ばれる育ての親、長谷川家で10ヶ月暮らしていたチエは、立派な成犬となり剛の待つ訓練センターへと戻ってきたのだ。だが、チエは長谷川家の10歳になる長女、美羽(近藤里沙)を忘れきれずにいた。剛は思い切って美羽にどうしたらチエに好きになってもらえるかと訊ねると、美羽はただ「私がチエを好きだっただけ」と答えるのだった。そんなある日、剛とチエの前に、ロックシンガーの真琴(大塚ちひろ)が現れる。ライブ中の事故で失明した彼女は、盲導犬を希望し、訓練センターを訪れたのだ。剛とチエは真琴と共に訓練を開始。最初はチエと向き合うことすらしなかった真琴であったが、チエの温もりに触れていくうちに彼女の心も柔らかく解けていく。やがて盲導犬資格試験にみごと合格したチエは、剛の元を離れることになり、共同訓練を終えた真琴と共に新たな生活をスタートさせる。真琴の目となり、足となり、最強のパートナーとなったチエは真琴の心の支えでもあった。そして、事故とともに音楽をやめようとしていた真琴の心も動かし、彼女は再び歌うことを決意する。だがライブが実現しようとしたその日、酔っ払いに絡まれた真琴を救おうとしたチエに逆ギレした相手が自転車を投げつけ、チエは瀕死の重傷を負ってしまう。真琴はチエの安否を気遣いながらもライブに立ち、チエを思い「きみのために」を歌いあげる。病院ではパピーウォーカーの長谷川家がチエを見守り、剛は真琴を見つめ続ける。チエが繋いだパートナーシップが、今また新たな形を作ろうとしていた……。