小森正一(古田新太)、42歳。会社では無気力な日々を過ごす中間管理職、家庭ではうだつの上がらない二児の父。ある日、彼は満員電車でOLから痴漢呼ばわりされ、屈辱を味わう。だが、彼女が常習犯だと知って怒りが爆発。地下鉄がホームに入ってきた瞬間、発作的に女を突き飛ばす。翌朝、小森の気分は一気に好転。活力が甦った彼は、人が変わったように職場できびきびと指示を下すようになる。そんな姿に、部下の静枝(栗山千明)は尊敬の眼差しを向ける。ご無沙汰だった妻・妙子(有森也実)との夜の営みもパワー全開で復活。やがて小森は、周囲の人間を不幸に陥れる自己中心的な人間を殺すことは正義であるとの論理を導き出す。悪を退治することに目覚めた彼は拳銃を入手。ターゲットは人を馬鹿にした態度で社内の空気を乱す部下の北沢(忍成修吾)。だが、意外にも北沢は小森の思想に共感。予想外の展開に戸惑いながらも処刑対象を変更。かつて北沢が被害に遭った、ぼったくりバーの従業員に狙いを定めるのだった。小森の信奉者となった北沢は、人が変わったように働き始める。次なる標的は、事なかれ主義を貫く息子の中学校の教頭・植田(佐野史郎)。だが、植田は小森の目の前で不良少年グループに襲われて息絶える。少年たちを射殺した小森だったが、教え子だった少年の良心を信じながら亡くなった植田を見て、信念が揺らぐ。翌日、警察の目を怖れた小森は拳銃を北沢に預けるが、さらなる射殺事件が発生。それには北沢だけでなく、静枝や小森の部下2人も関わっていた。小森の正義は、もはや彼一人のものではなかった。そしてついに静枝の周到なマネージメントのもと、「小森正義クラブ」=KSCが発足する。会長に祭り上げられた小森のデスクには、小森が知らない処刑候補者たちのファイルが積み上げられていく…。