観葉植物販売の会社に勤務するミチの周りで、奇妙な出来事が続発した。同僚・田口の自殺を皮切りに、同じく同僚の矢部が、社長が、順子が、両親が、次々と黒い影を残し姿を消していったのだ。同じ頃、大学生の亮介の身辺にもおかしなことが起こっていた。彼のパソコンが、勝手に「幽霊に会いたいですか」と問う無気味なサイトにアクセスしてしまうのだ。同じ大学の春江の先輩で大学院生の吉崎の見解によると、霊魂を受容出来るエリアがいっぱいになり、それらがこちらの世界に溢れ出して来ているらしい。そして、溢れ出た霊魂と出会った人間は孤独感の中に閉じ込められ、それに耐えきれず死を選ぶ。勿論、そんな荒唐無稽な説を俄には信じられない亮介であったが、遂に彼の前からも春江が姿を消してしまう。春江を捜し、誰もいなくなった町を彷徨う亮介。そんな彼と出会ったミチは、生き残りをかけて海へと逃げ延び大きな船に拾われる。だが、亮介もまた黒い影を残し船内から姿を消してしまうのだった。