【聖女が街にやって来た】私立探偵・工藤俊作の元に、教会のシスターが仕事の依頼をしてきた。それは、彼女の教え子である夏子が盗んだハンドバッグを、穏便に持ち主に返して欲しいというものだった。依頼を引き受け、持ち主の住むマンションへ赴く工藤。ところが、その女性は何者かによって殺害され、彼は容疑者にされてしまう。しかも、彼女を殺害したギャングが、バッグに隠しておいたブツを返せと脅迫してきた。訳の分からぬまま、警察とギャングから追われるハメになる工藤。彼はシスターと一緒に夏子を探し出し、ギャングが探しているブツが偽札のフィルムであることを突き止めると、ギャングと壮絶な闘いを展開。見事に彼らをやっつけ、自らの汚名を晴らすのであった。【夜汽車で来たあいつ】私立探偵・工藤俊作の元に、妹・由美を探して欲しいという依頼が舞い込んだ。依頼主はその兄・田村一郎だ。福井の田舎から出てきた彼は、真面目な性格で工藤とは水と油。そんな彼に工藤はやりにくさを感じるが、しかし持ち前の情報網で由美を見事に探し出してやるのであった。ところが、彼女は恋人・ゴローが起こした事故の慰謝料を払う為に、ある売春組織で働いていたのだ。今の状態では兄に会いたくない。彼女の気持ちを汲んでやった工藤は、一郎に妹は元気であるとだけ伝えることにする。だがその時、一郎が倒れてしまった。どうやら彼は癌に冒されていたのだ。その上、役場の町長らに贈られた賄賂金を横領していた彼を追って、地元のヤクザが現れたのである。ヤクザから一郎を守ってやる工藤。彼は全てを治めると、田舎へ帰ろうとする一郎に由美を会わせた。ふたりは兄妹の絆を確かめ合い、やがてそれぞれの世界へ戻っていく。その後、工藤の元に一郎から手紙が届いた。そこには、手術を受けたこと、そして完治した暁にはまた上京し、工藤と酒を酌み交わしたいことが綴られていた。