移住した南米で遭った事故で父親を亡くし、自らも輸血でHIVに感染してしまった17歳の少女・明子は、母親とともに7年ぶりに故郷の福島県本宮町に戻ってきた。彼女の病気はすでに町中の噂になっており、地元の高校に通うことには反対の声も上がっている。しかし、明子には親友の夏実という強い味方があった。明子の病気に理解を示した夏実は、7年間のブランクを埋めるように明子との交流を深めていく。夏休みが終わり、本宮高校に編入した明子は、ある日、集会で倒れてしまった。それは単なる貧血だったが、周囲の者たちの不安をかき立てる。夏実はそんな周囲の偏見と差別に立ち向かったが、ボーイフレンドの修司や父・正吉の不理解に絶望し、家を飛び出してしまった。明子の家に厄介になることにした夏実は、そこで改めて明子の苦しみや悲しみを目の当たりにする。表面では明るくしていても、彼女は死の恐怖に直面しているのだ。秋も深まり、夏実と明子は学園祭でコントを披露しようと熱心に練習を積み重ねてきたが、ある日の帰り道、明子を快く思わないクラスメイトに因縁をつけられ言い争いとなり、明子が急に降り出した雷雨にうたれて病院に担ぎ込まれる。明子の願いで学園祭の舞台にひとりで立つことになった夏実は心ない観客のヤジにあうが、必死の思いで明子の心中を訴えると、いつしか観客から拍手がわきあがるのだった。それからしばらくして、明子は大好きな安達太良山を見ながら息をひきとる。親友の死にショックを受けて家に戻った夏実に、明子からの手紙が届いた。夏実への感謝の気持ちを書き綴ったその手紙を読んだ夏実は、明子の代わりに強く明るく生きていこうと心に誓う。