江戸の大火に材木買占めで巨利を得た材木問屋上総屋喜兵衛、呉服問屋尾張屋伝右衛門ら一味は、示し合せて銭形平次の探査の手を手先の松五郎と新吉に負わせ、二人は佃島へ流された。三年後、事の次第を知った二人は牢を破るが新吉だけ辛くも逃れる。翌朝、隅田川べりに一味の医師宗庵の死体が浮び、懐中から東海道五十三次の浮世絵が発見された。検死した目明し三輪の万七もこの謎解きは出来ない。だが与力笹野新三郎に島破りの件を聞いた平次は以前の事件を思い出す。この頃、上州から来た焼物師新次郎は上総屋の跡とり娘お絹と知り合う。やがて一味の伊勢屋久助も殺害され懐中には又もや浮世絵が。明晩子の刻に奉行月番が、かつて平次の探査を妨げた北町奉行根岸肥後守に移ると知った平次は事件の急拠解決を誓う。お絹を旅篭柊屋へ置いて外出した新次郎が戻るとお絹は消失。平次は彼から事情を聞き、お絹急死の噂で上総屋に急ぐが、棺の中身は板倉屋おれんの死体。大番頭菊蔵の計りで捕われの身となった平次は新次郎共々急場を脱し、上総屋の寮に駈けつける。仲間割れでおれんを殺し、お絹を生きながら墓に埋めて身代を奪おうとした喜兵衛の企てはここに暴かれ、彼はそこに幽閉されていたお絹の短銃に倒れる。やがて神田祭の雑踏。死んだ筈の松五郎が新吉と共に尾張屋を襲うが平次に妨げられる。材木買占め一味が浮世絵の絵柄と色で会合場所を指定していたと知った平次は、とある料亭へ尾張屋と蔵奉行松島外記をおびき出し、陰謀発覚を恐れた尾張屋が宗庵と久助を殺したことや松島の一味加担を暴く。平次は女目明しお品と協力、米買占めで又もや大儲けしようと企んだ一味を一綱打尽。新吉は以前行方不明になった弟新次郎と再会、お絹の幸せを祈りつつ平次に曳かれて行った。