京都の春。祇園の芸妓や舞妓たちが総出演する都踊りが今年も、歌舞練場で催されていた。なじみの客から「三つ揃え」と呼ばれる美津次、美津ひろ、美津丸の三人は姉妹芸者で通っていたが、実は舞妓の美津丸は美津次の子だった。美津次と美津ひろは二人で一軒の家を持ち、自前芸者として働いていた。その夜、美津次の前の旦那で坊んち育ちの古沢が無一文になって居候に転がり込んできたことから、美津次と美津ひろは争いを生じた。若い世代の女性として芸者という存在に疑問を持つ美津ひろは、美津丸の父古沢への美津次の愛情を旧いときめつけ、早く新しい旦那をつくれと迫るのだった。美津ひろは呉服屋の若い番頭木村が自分に寄せる好意を利用して姉の衣裳を作らせ、さらに古沢の分家岡西が姉に気があるのを察して古沢への手切金を出させ、姉の留守に古沢を追い出した。木村が美津次への衣裳を内密に作ったことがばれて、主人の工藤は美津ひろに文句を言いに来たが彼女にまるめ込まれ、却って旦那になろうと申し出た。ある夜、南禅寺の料亭で二人の祝言の席が設けられた。だが突然現われた木村の姿に、妻文子に知られるのを恐れた工藤はあわてて帰ってしまった。古沢追い出しの真相を知った美津次は、料亭から戻った美津ひろに怒りをぶちまけ、美津丸を連れて古沢の許に移った。木村は美津ひろを誘い出し愛情を打ち明けたが沈黙する彼女を怒って崖から突き落した。一方、美津次は東京に職の見つかった古沢に去られ茫然としたが脚を骨折した美津ひろを病院に見舞い、二人の間には血肉の情がよみがえった。謝罪する木村に美津ひろは結婚を誓い、美津次と美津丸は涙をかくして客の前で踊っていた。