TVで有名になるという野望に向かって突き進み、ついには夫を亡き者にした悪女の姿を通して、マス・メディアの危険なパワーを痛烈に諷刺したブラック・コメディ風のサスペンス。ヒロインはもとより様々な関係者たちによる証言で物語を再構成する語り口も斬新。90年5月に起こった、22歳の女性教師が15歳の少年をそそのかして夫を殺害させた事件に材を取った、女性作家ジョイス・メナードの長編小説『誘惑』を、俳優のかたわら「卒業」や「天国から来たチャンピオン」の脚本を手掛けたバック・ヘンリーが脚色。監督には「ドラッグストア・カウボーイ」「マイ・プライベート・アイダホ」「カウガール・ブルース」のガス・ヴァン・サントが当たった。製作は「靴をなくした天使」のローラ・ジスキン、エグゼクティヴ・プロデューサーはジョナサン・タプランとジョセフ・M・カラチオロ。撮影のエリック・アラン・エドワーズ、美術のミッシー・スチュワート、編集のカーティス・クレイトンはサント組の常連。音楽は「バットマン(1989)」「黙秘」のダニー・エルフマンが担当。主演は、ヒロインさながらの売り込みの末に役を獲得したという「バットマン・フォーエヴァー」のニコール・キッドマンで、彼女の美貌と熱演ぶりが見もの。共演は「フランキー・スターライト 世界でいちばん素敵な恋」のマット・ディロン、故リヴァー・フェニックスの弟で「バックマン家の人々」のフォアキン・フェニックス、「サーチ&デストロイ」のイレーナ・ダグラス、本作でデビューしたアリソン・フォランド、「M(エム)バタフライ」の監督であるデイヴィッド・クローネンバーグほか。