コンカッション

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著名人より

『コンカッション』はアメフト映画でありながら、れっきとした社会派映画である。
この映画はNFL(アメリカのプロフットボールリーグ)が直面する「脳震盪=コンカッション」というスポーツの持つダークサイドを扱っているが、ウィル・スミス演じる主人公は自分や家族を危険にさらしながらも、暗部を告発する良心と勇気を持つ。私は『インサイダー』や『エリン・ブロコビッチ』といった映画を思い出した。
『コンカッション』は、誠実にスポーツの光と影に向き合い、なおかつアメリカン・ドリームを信じる人たちの物語である。生島淳(スポーツライター)

いい映画だ。アメリカの一大社会問題にもなったホットな事件が全篇を通じて実にクールに描かれている。演技にも演出にも映像にも抑制が利いている。センセーショナルなテーマを扱いながら、煽り立てるところが微塵もない。これほどケレン味のないハリウッド映画も近頃珍しいのではないだろうか。
ただ、勝手な想像ながら、実在の人物が登場するぶん、もしかしたらどうしてもその描写には慎重にならざるをえなかったのかもしれない。制作過程において、MFL側からなにやら要請があったとも聞く。また、原作では黒人差別問題がはっきりと取り上げられているのだが、そのあたりも映画ではやや薄味になっているような気がした。
それでも、だ。物議を醸すことを承知でこのような大作がつくられることそれ自体に、アメリカ文化の底力のようなものをつくづく感じさせられた。静かないい映画だ。田口俊樹(翻訳家)

アメフトファンの僕は、この映画を見てどうしても思う。「試合が熱ければいいじゃん!ケガもコミコミでしょ?」その感想こそが、この映画の切り込む是非だ。これは普遍的な、医者とスポーツの物語。稲垣理一郎(漫画家/「アイシールド21」原作担当)

鑑賞した皆さんより

アメリカンフットボールの栄光と、脳震盪のリスク。「アメフトが選手を殺す。」 スポーツという誰 でも経験する共感理解を得やすいメインテーマから入り、病症解明、組織隠蔽、人種差別等、様々な問題を取り上げて、人的ユーモア、家族の愛も盛り込んだ、一人の男、そしてその家族の人生として完成された、面白い作品です。viz(KINENOTEユーザー)

オマル医師は自分が正しいと思う道を、真実を知ってもらおうと前へ進もうとする。映画では、難しい病理学の話をあまり前面に出さず、アフリカーナ(アフリカ直系の民族)としての誇りと名誉を重んじながら歩もうとするオマル医師の気高さ、医者としての良心を貫こうとする人間的な美しさを強く、印象深く見せることに演出を絞ったことで、大きな感動を観客に与えてくれた。こもねこ(KINENOTEユーザー)

コンカッションとは脳震盪の意味ですが、この問題が表面化した時は、アメリカは脳震盪どころの衝撃ではなかったと思います。
このNFLの選手の集団訴訟はニュースにもなっていたので知ってはおりましたが、最近の話だと思っておりました。
随分前からその危険性が認識されており、後遺症に悩まされる元選手の多さに驚きがありました。レオポン(KINENOTEユーザー)

アメリカ国内でNFLがどんな力を持っているか、まざまざと見せつけられた。圧力団体じゃん。。。
そこに楯突く(ご本人にそんなつもりはなかったろうに。。。)形となった、ナイジェリア人の真面目な医師。 追い込まれる医師の葛藤をウィル・スミスが丁寧に演じている。
彼にとってアメリカは夢の国だったろうに。 CTEの発見だって、夢の国の住人であろうと職務を頑張った結果だろうに。
また、アメフトになんの思い入れもない主人公と違い、内側の人間であったが故に、アメフトを、選手を愛するが故に、シンプルには進めない元チーム・ドクター、アレック・ボルドウィンの演技が味わい深い。“リスクを知るべきだ”これはもうごもっともな話で、スポーツ選手だけじゃない。どんな仕事であれ、それを隠して雇用することは許されない。
みなと(KINENOTEユーザー)

これってウィル・スミス?って思う程の主人公のなりきり様。アレック・ボルドウィンもいつもとは異なる渋味。そして何よりも描かれたテーマ。良作の一本。みのや(KINENOTEユーザー)