トリュフォーと共同監督した『水の話』に続くゴダールの劇映画(短編)の第2作目。『ラ・ガゼット・デュ・シネマ』誌を編集するエリック・ロメールが脚本を書き、当時同誌に執筆していた映画青年ゴダールが演出した作品。撮影はパリ市内で行われました。
ナンパ上手な男の子パトリックを巡る女の子たちの、とても可愛い物語です。エリック・ロメールが脚本を書いているだけあって、何気ない軽いおしゃべりの中に若い男女の飾らない日常性が見えてくる洒落た味わいの短編映画。コロコロ転がるような可愛いピアノ曲に乗って、パトリックと女の子たちが動きまわる演出にゴダールのセンスのよさが光っていました。
シャルロットとヴェロニックは、パリのアパルトマンをシェアする女学生。ふたりはある広場で待ち合わせをする。先に着いたシャルロットは、パトリックという青年にナンパされ、デートの約束をする。シャルロットがいなくなったところにヴェロニックが着くと、同じくパトリックが近づいてきて、おなじ会話をし、翌々日に会う約束をする。部屋に戻って、シャルロットもヴェロニックも、それぞれの「パトリック」のことを自慢する。次の日ふたりは街で一緒に、別の女性とイチャイチャしているパトリックを目撃し、ふたりがデーとの約束をしたのは同じパトリックだということもわかってしまった…。ちゃんちゃん(笑)
まぁ、こんなたわいないお話です。でも、等身大でありながら軽くて可愛くて小洒落たこの雰囲気は、誰にでも出せるものではありません。まさにロメール×ゴダール・マジックという感じがしました。ゴダールってとてもセンスがいいですよね。それはこの先どんな映画を撮っても失われることのない生来のものだと私は思います。
そうそう、パトリックがシャルロットを口説くとき、シャルロットが返事をしないのに業を煮やしたパトリックは、もしかしたら君、英国人?ドイツ人?スウェーデン人?と聞いていくのですが、最後には「もしかして日本人?クロサワ~、ミゾグチ~?」と言い出すのです(笑)。ヌーヴェル・ヴァーグでミゾグチ人気は有名ですが、クロサワも登場したので何となく嬉しかったです。