CGの出来を見せたいなら「三丁目の夕日」を参考にして
スポーツドラマとしてのカタルシスがない。
気分屋のペコ(窪塚洋介)と冷めているスマイル(ARATA)のこれまでの試合をCGで処理はしているものの、なかなかの見せ場としている。だがクライマックスの試合は具体的に見せず、表彰台でにっこりとしている写真を見せて試合の結果を示すというのは、いったい何なんだ?
一番の見どころを試合の場面を見せないでこういう処理をするのか。「瀬戸内少年野球団」か?
またペコとスマイルはまったく共感を呼ばないキャラクターなので、彼らが泣こうが笑おうが映画に入り込めない。
もしかしたら、この類の映画の定石を意図的に外して、スカッとさわやかなスポ根ドラマとは違ったものを目指したのか。
DVDのオーディオコメンタリーでは曽利文彦監督はCGの制作にも拘った技術屋さんでもあったようだ。
そしてCGの出来栄えを強調していたから、それなら作品最大の見せ場の試合をCGを駆使して見せないのか。
また、曽利監督はドラマにも興味がないようだ。彼のコメンタリーで想像できるのは、監督は作家ではない。技術屋だということ。彼は役者の演技でドラマが作られるということには感心がないように思える。
あくまでこの作品はドラマとしてではなく、日本のCGだって、ここまで出来るんだという技術屋さんとしての気持ちしか入っていないようだ。