天国と地獄

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天国と地獄

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レビューの数

150

平均評点

85.4(837人)

観たひと

1280

観たいひと

144

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1963
公開年月日 1963/3/1
上映時間 143分
製作会社 東宝=黒澤プロダクション
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 4chステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒澤明 
脚色小国英雄 
菊島隆三 
久板栄二郎 
黒澤明 
原作エド・マクベイン 
製作田中友幸 
菊島隆三 
撮影中井朝一 
斎藤孝雄 
美術村木与四郎 
小道具野島秋雄 
音楽佐藤勝 
録音矢野口文雄 
整音下永尚 
音響効果三縄一郎 
照明森弘充 
衣裳鈴木身幸 
製作担当者根津博 
チーフ助監督森谷司郎 
記録野上照代 
スチル副田正男 
特殊機械大隅銀造 
撮影助手原一民 
編集助手兼子玲子 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演三船敏郎 権藤金吾
香川京子 権藤伶子
江木俊夫 権藤純
佐田豊 青木
島津雅彦 青木進一
仲代達矢 戸倉警部
石山健二郎 田口部長刑事
木村功 荒井刑事
加藤武 中尾刑事
三橋達也 河西
伊藤雄之助 馬場専務
中村伸郎 石丸重役
田崎潤 神谷重役
志村喬 捜査本部長
藤田進 捜査一課長
土屋嘉男 村田刑事
三井弘次 新聞記者A
千秋実 新聞記者B
北村和夫 新聞記者C
東野英治郎 年配の工員
藤原釜足 病院の火夫
沢村いき雄 横浜駅の乗務員
山崎努 竹内銀次郎
山茶花究 債権者A
西村晃 債権者B
清水将夫 刑務所長
清水耕次 魚市場の事務員
熊倉一雄 魚市場の事務員(声)
清水元 内科医長
名古屋章 山本刑事
浜村純 債権者
織田政雄 税務署執行吏
西村晃 債権者
田島義文 看守長
宇南山宏 島田刑事
牧野義介 高橋刑事
近藤準 刑事
鈴木智 小池刑事
大村千吉 病院の外来患者
加藤和夫 鑑識課員
菅井きん 麻薬患者
富田恵子 麻薬患者・殺される女
小野田功 麻薬患者
田口精一 中村刑事
松下猛夫 税務署執行吏
山本清 上野刑事
伊藤実 刑事
鈴木治夫 刑事
大滝秀治 新聞記者

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

エド・マクベイン原作“キングの身代金”を「椿三十郎」の小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎、黒澤明が共同で脚色、黒澤明が監督した刑事もの。撮影は「娘と私」の中井朝一と「ニッポン無責任時代」の斎藤孝雄。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ナショナル・シューズの権藤専務は、大変な事件に巻込まれてしまった。明日まで五千万円を大阪に送らないと、次期総会で立場が危くなるというのに、息子の純と間違えて運転手の息子進一を連れていってしまった誘拐犯人から、三千万円をよこさないと進一を殺すという電話があったからだ。苦境に立った権藤は結局金を出すことになった。権藤邸に張りこんだ戸倉警部達は権藤の立場を知って犯人に憎しみを持った。金を渡す場所。それは、明日の第二こだまに乗れということだった。犯人は戸倉警部達を嘲笑するかのごとく、巧みに金を奪って逃げた。進一は無事にもどった。権藤は会社を追われ、債権者が殺到した。青木は進一の書いた絵から、監禁された場所を江の島附近と知って、進一を車に乗せて江の島へ毎日でかけていった。田口部長と荒井刑事は、犯人が乗り捨てた盗難車から、やはり江の島の魚市場附近という鑑識の報告から江の島にとんだ。そこで青木と合流した二人は、進一の言葉から、ついにその場所を探り出した。その家には男と女が死んでいた。麻薬によるショック死だ。一方、戸倉警部は、ある病院の焼却煙突から牡丹色の煙があがるのをみて現場に急行した。金を入れた鞄には、水に沈めた場合と、燃やした場合の特殊装置がなされていたのだ。燃やすと牡丹色の煙が出る。その鞄を燃やした男はインターンの竹内銀次郎とわかった。また共犯者男女ともかつてこの病院で診察をうけており、そのカルテは竹内が書いていた。今竹内をあげても、共犯者殺人の証拠はむずかしい。戸倉警部は、二人の男女が持っていた二百五十万の札が、藤沢方面に現われたと新聞に発表する一方、竹内には、二人が死んでいた部屋の便箋の一番上の一枚に、ボールペンで書きなぐった後を復元した、「ヤクをくれヤクをくれなければ……」という手紙を巧妙に渡して、腰越の家に罠を張って待った。そして、竹内には十人からの刑事が尾行についた。竹内は横浜で麻薬を買った。肺水腫に犯された二人が麻薬純度九〇%のヘロインをうって死なないはずがない。竹内はそのヘロインを今度は、伊勢崎町の麻薬中毒者にあたえてためそうというのである。果して一グラム包〇・三%を常用している中毒者は忽ちにしてショック死した。彼は薬の効果を確かめてから、二人の男女中毒者をおいておいた腰越の別荘に走った。そこには、すでに戸倉警部の一行が、ずっとアミを張って待っているのだ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2017年11月上旬特別号

野上照代に訊く黒澤映画 「天国と地獄」後篇:インタビュー 野上照代

2007年11月上旬特別号

見逃してはいけない@スカパー!:『露木茂の「ニュース映画で見る昭和」』「天国と地獄」「縛り首の木」

1983年11月上旬号

特別企画 [黒澤明の全貌]によせて 第1回 私の黒澤映画:「天国と地獄」

1963年4月上旬春の特別号

日本映画批評:天国と地獄

日本映画紹介:天国と地獄

1963年3月下旬号

「天国と地獄」・黒沢明の世界:

1963年3月上旬増大号

2大シナリオ特集:天国と地獄 黒沢明監督(東宝映画)

1962年12月上旬号

新作グラビア:天国と地獄

1962年11月上旬号

秋の日本映画の大作探訪:「天国と地獄」と黒沢明

1962年9月上旬号

旬報万年筆:黒沢映画「天国と地獄」スタート

2025/04/26

2025/04/26

75点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


振動と音響は密閉と沈黙の内側に伝わる

「天国」に擬えられ,「浅間台」と呼ばれる高台に住む権藤さん(三船敏郎)がいる.この権藤さんの自宅が序盤の主な舞台となり,続いて,開業間もない新幹線の「特急第2こだま」が西へと向かい,その車内が舞台となる.その後,警察署や横浜の町へと捜査員たちが繰り出し,舞台は拡散していく,そして後半,その権藤さんはきえ,戸倉警部(仲代達矢)を中心に物語は展開する.
権藤さんの家で床に這いつくばる警察がいる.犬なのかもしれない.河西(三橋達也)という男はフラフラしている.カーテンが閉められ,開けられる.そこには都市の風景が俯瞰されて見える.また,窓を開けると都市の音が聞こえてくる.外の音が入ってくるとすれば,それは電話である.ここは周囲を排除した上に成立した天国でもある,
ナショナル・シューズを作り,その機能と意匠を追求する 「おやじさん」と呼ばれる社長がいるらしい.靴と帽子のつくりの違いが権藤さんからプレゼンされる,そこにも天地のモチーフがうっすらと暗示されている,権藤さんの周りにも弱い者たちがいる,運転手の青木(佐田豊)と進ちゃんと呼ばれる息子である.この親子が誘拐に巻き込まれ,物語は動き出す,警察にも本部長(志村喬)のようにどっしりと構えた男もいれば,坊主のようなボースン(石山健二郎)のように実働部隊もいる. 
時を告げるチャイムが鳴る.玄関チャイムが鳴る,電話のベルが鳴る.こうした音とともに,電話の通話内容が再現され,こだまから撮影した映像の再現され,手紙の再現により殺人が再現されようとしている.再現的なものは反復される.電車は揺れ,微細な往復運動が車両と乗客に伝わる.心音のように不穏な走行音がする,車両も密室であり,その密閉性が誘拐犯に利用される.鉄橋の音,すれ違う列車の音,それはいつしか権藤さんの心理とも連動し,顔を洗う権藤さんがいる,犯人は「正真正銘の畜生」と呼ばれている,
権藤さんは,世間から同情され,世論を完全に味方につけており,芝刈り機をひたすら動かしているが,警察は動いている.江ノ島と江ノ電が見える,腰越の市場にも捜査が入る.その別荘の中にヘロイン中毒がいる.黄金町では,麻薬中毒者たちが声もほとんど発することなく欲望だけになった動物のように蠢いている.ダンスホールでは踊りと音楽の喧騒があり,人々が漂っている インターンの竹内(山﨑努)を警察は泳がせ,罪に見合ったより重い罰を与えようとしている.警察たちはコミカルに様々な変装をしている,竹内のサングラスには,明るいものが白く反射して見えている.また,記者と連んで新聞記事を操作し,犯人を追い込む警察がいる,犯人である竹内は,電話以外で声を発していなかったが,声を出した途端に,彼は拘束されている.「俺はこれからが俺」と言う権藤さんと竹内は,ガラスと金網越しに対面している,その間にシャッターが降りてきて,幕が閉まる. 

2025/04/08

2025/04/13

56点

選択しない 
字幕


三船敏郎、43歳

あまりにも有名な黒澤映画。
昔、テレビで見た。NHKでやってたので、又見たくなった。
やはり面白かった。

2025/04/02

2025/04/02

-点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


丘の上のお屋敷

ネタバレ

特急第2こだま 7㎝以下の鞄 酒匂(さかわ)川
優しい妻と純くん 新一くん聡明  桃色の煙
江ノ電の音 音楽 佐藤勝さん 山崎努さん狂気

2025/03/31

2025/03/31

100点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


黒澤映画の中でのマイベスト!
傑作の一言しかない!!

2025/01/03

2025/01/03

97点

選択しない 


傑作中の傑作

45年振りに観賞。十代で観た時は前半の面白さに比べて後半の気味の悪い貧民街描写や感情移入しにくい犯人の動機などが今一つな感じを持ったのだが、再観賞すると、けしてそんな事はなかった。
 会社内での抗争から誘拐事件、身代金の受け渡しまで、前半が特にスリリング。特急から身代金の入った鞄を投げるまでのシークエンスは本当に凄い。又、捜査陣の動きを描いた中後半も徐々に犯人に近づいていく過程を丁寧に描写して、前半とは違った面白さがある。昔観た時に感心しなかった貧民街の描写も特に気にならず、歪んだ心を持った犯人の動機も今となっては納得するものがある。傑作中の傑作。

2024/03/14

2024/04/03

80点

購入/DVD 


デカとホシ

ネタバレ

横浜の警部が、大手シューズメーカーの常務※を脅して身代金を奪った幼児誘拐犯を追う。
犯人はシューズメーカーの常務の子どもを誘拐するつもりが、誤って運転手の子どもをさらってしまう。一度は犯人からの連絡に驚いた常務だが人違いと分かって安堵するものの、犯人は身代金を要求し続ける。「運転手の子どもであっても身代金を出すのはお前だ」と。
冒頭から40分ほどは、高台にある常務の邸宅の応接間で繰り広げられる。最初は会社の乗っ取りを謀る重役たちからの説得、続いて誘拐犯からの連絡、警察の到着、犯人とのやり取り…。場所は変わらないのにすさまじい緊張感だ。続いて有名な特急列車を使った身代金受け渡しの場面が続き、緊張感はさらに大きくなる。
冒頭から特急列車を使った身代金受け渡しまでのスリルはほかの作品ではそう簡単にお目にかかれない。何度も見ているのにどんどん引き込まれていく。後半はまんまと大金を手にした犯人憎しで追い詰めていくサスペンスの高まりに乗せられてさらに引きずり込まれていく。
後半は犯人と目星のついた男を泳がせて犯行の証拠をつかもうとする。いわばのちのコロンボ方式なのだけれど、予期せぬ行動を取る犯人に翻弄される警察がたまに笑わせてくれたり、逆に真意が読めず緊張感が増したりと前半以上に画面から目が離せなくなる。
警察ものでこれ以上面白い作品ってあったかな… と思うほど久しぶりに警察/犯罪ドラマを楽しんだ。
ところで、刑事たちが自分たちを“デカ”、犯人を“ホシ”と呼ぶのだが、デカとかホシとかというのはてっきり後年の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」で定着した言葉だと思っていた(チコちゃんでそんなふうに紹介されていたような)が、すでにこの作品の頃(1963年)に一般的な業界用語だったらしい。

※三船敏郎が演じるシューズメーカーの重役を「専務」としているサイトがKINENOTEも含めて多々ありますが、作品の中で「工場担当の常務」とセリフで出てきます。