マヤ文明の予言によると、12月に地球滅亡を迎えるとも言われている２０１２年!?それはさておき、今年もご多分に漏れず喜怒哀楽さまざまな出来事が起きているが、それらを映画と照らし合わせながら語り明かしていくのも、また一興ではある。

　２０１２年を代表するビッグ・イベントといえば、やはり夏に開催されたロンドン・オリンピック。その開会式では００７ことジェームズ・ボンドがエリザベス女王をエスコートして大空から登場!?シリーズ第21作目「カジノ・ロワイヤル」で初お披露目となった６代目ボンドのダニエル・クレイグとしては、最新作「007　スカイフォール」の絶好の宣伝にもなったことだろう。またこのロンドン五輪、開催中ずっとヴァンゲリス作曲による「炎のランナー」のテーマ曲が鳴り響いていたが、その影響か今もサントラ盤ＣＤが売れまくっているという。

　また、様々な事件や事象などの区切りとなる年でもあった。例えばタイタニック号沈没から１００年（これを記念して映画「タイタニック」３Ｄ版も公開・セルＢＤ発売）、さらにはかの事件がモデルとも呼ばれているパニック映画の代名詞「ポセイドン・アドベンチャー」も製作40周年を迎えたが、１月13日にイタリアの豪華客船コスタ・コンコルディア号座礁転覆事件が起きているのは何かの因縁か。

　20世紀アメリカのセックス・シンボルことマリリン・モンローがこの世を去ったのも、今からちょうど50年前の１９６２年８月５日。この没後50周年に合わせ、８枚組のセルＢＤ - ＢＯＸが発売、マリリン・モンロー出演映画の総選挙がＦＯＸのＨＰ上で実施された。栄えある１位に輝いたのは「紳士は金髪がお好き」であった。

　訃報で驚いたのは、やはりトニー・スコット監督の自殺死か。今もその原因があれこれ取り沙汰されてはいるものの、映画ファンとしては「アンストッパブル」など彼の遺した作品群を鑑賞することで、その供養としたいもの。ホイットニー・ヒューストンの早すぎる死も世界中のファンに衝撃を与えた。晩年は「笑う警官」の主題歌も担当するなど日本とも浅からぬ縁があった彼女だが、実は「ため息つかせて」など映画女優としての才覚も大いに持ち併せていた。一方「マーフィ」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したアーネスト・ボーグナインの死は、「北国の帝王」のような、映画がタフガイたちの活劇でもあった時代の終焉を物語っているようだ。

　復活にも目を向けてみよう。20世紀アクション映画の神話のひとりでありながら、病気のため映画界を引退していたチャック・ノリスが、「エクスペンダブルズ２」で久々に銀幕復帰。そしてこの秋、「テキサスＳＷＡＴ」「野獣捜査線」など彼の主演作品群が一挙にＢＤ化されるのは嬉しい限りでもある。

　２０１２年秋といえばアメリカ大統領選挙も大きな話題となっていたが、映画もまた様々な形で４年に一度のお祭りを題材に映画化してきた。その中にはノイローゼでプッツンした上院議員がラップを歌い踊りながら過激な選挙活動を始める「ブルワース」のようなユニークなものも含まれている。

　地球温暖化の原因となっている二酸化炭素などの排出削減を目的に制定された京都議定書の目標期限も今年いっぱいとなっている。今後も新たな約定などが交わされていくことだろうが、いずれにせよ「デイ・アフター・トゥモロー」のような大惨事に至らないよう祈りたいものである。

（キネマ旬報2012年12月上旬号掲載）