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忍びの国
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忍者と武士との戦いが歴史上にあったという視点はとても面白いと思う。 で、忍者達のキャラクター設定なのだが、これがこれでよかったのかということだ。これは映画に対して言っているのではない。わたしは小説を読んでから映画を見ているので、小説が忍者達のキャラクターをそのように描いているので映画でも同じように描いただけだろうが……。このあたりは、何か資料があるのかなぁ。それとも作者がそうした方が武士との、一般的な人間との違いを際立たせることができるキャラ設定だからそうしたのかなぁ。 今、ちょうど中野信子さんの「サイコパス」(文春文庫)という本を読んでいるので、重なってしまうが、忍者ってまるで「サイコパス」集団のようだ。これが一次的なものなのか、それとも生活する上で二次的に生じる者なのかは分からないけれど。 小説との絡みで言えば、原作者の和田さんという方は、現代日本の読者が手にとって読んでくれそうな、話題を小説にし、書きぶりも、今の方々が楽しんで読んでくれそうな書きぶりにしている。映画を見て余計思ったのだが、書きぶりが「アニメ」や「マンガ」っぽいのだ。読みやすい。けれども、なんだか表層っぽい。サラーッと流れていく感じがする。 小説も、映画も、無門の心の変化は……。どうなのだろう。読んでいて、見ていて、同調できない感じではあった。まだ、小説の方が心の変化が見て取れたかもしれないが。 映像からすると、うーん。安っぽいなぁ。 特に、無門が、日常的に付けていた兜を脱いで、戦う場面。 自分でもスピードがどのように制御できるか分からないと言ってから戦うところは、もう、映像が雑なのか、限界なのか、安っぽいのかわからない感じだった。これって、技術と言うよりセンスなんじゃないかなぁ。 わたしの好きな仮面ライダーの一つに、「仮面ライダーカブト」がある。この仮面ライダーの得意の一つは「ハイパーキャストオフ」といって、人間の目に見えない速さで行動し、互いに人間の目に見えない速さで戦うわけだけれど、毎週作っているテレビ番組にしては、映像のこだわりがあって、とてもきれいで、素直に目にもとまらない速さで戦うのってこんな感じなのかもしれないと思わせてくれた。そして、美しかった。 この映画には、「ユーモア(笑い)」を前面に出すわけで、「美しさ」を出すわけではない(出したくなかった?)から、そういう作りになったのかどうか分からないが、なんだか、あのクライマックスに近い場面でのあの映像は……ちょっと見る目が萎えてしまった。 映画を作る側も、そして、見るわたし自身も、何を求めていたのかなぁ……。 そこが問題なのか。
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