男性      女性

※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。

NEWS

KINENOTE公式Twitter

鑑賞日 2025/12/21  登録日 2025/12/21  評点 50点 

鑑賞方法 映画館/東京都/角川シネマ有楽町 
3D/字幕 -/字幕
いいね!レビューランキング 88376位

父チャップリンを語るという凡庸

チャップリンがロマ(ジプシー)の血を引いている可能性を示唆するドラマである。だが、その事実(らしきもの)は単なる装飾にすぎない。ジプシーの血と放浪者チャーリーを重ね合わせたい意図は見えるものの、それは解釈というより自己満足に近い。

映像は確かに美しい。「ニューヨークの王様」で印象を残したマイケル・チャップリンを軸に、ユージーンを除くチャップリンの子どもたちが総出演し、家系と血筋について執拗なまでに語り続ける。ドキュメンタリードラマとしての完成度は高い。しかし皮肉なことに、途中で挿入されるチャップリン作品があまりにも偉大すぎて、このドラマの語りそのものが空虚に見えてしまう。

ここで描かれているのは、チャップリンの血ではない。父チャップリンという巨大すぎる存在の前で、ついに自分自身の物語を持てなかった子どもたちの姿である。血筋を語り尽くしたつもりで、結局浮かび上がるのは「偉大な父を持ってしまった不運」だけだ。

そしてそれは、老いたチャップリンの晩年に重ねられることで、ある種の感傷へと回収される。しかしその感傷こそが、この作品の限界でもある。チャップリンを神話から引きずり下ろすことも、神話を更新することもできず、ただ周縁をなぞるだけに終わっている。