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国宝
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2度目の鑑賞。劇場は相変わらず満席だった。 大きなスクリーンに映し出されるふたりの運命を、観客は固唾を呑んで見つめる──いや、むしろこの映画は、スクリーンから客席を飲み込むような、人物たちの「表情の迫力」を体感する映画と言うべきかもしれない。 その強さは、撮影を担当したソフィアン・エル・ファニ(『アデル、ブルーは熱い色』)のカメラによるところも大きいだろう。2度見ても飽きない。むしろ、繰り返し見ることで新たな深みが味わえる作品だ。 前回も強く感じたが、特に前半、子役のふたりの出会いと関係性の描き方が非常に魅力的である。 歌舞伎という伝統芸能──その型と美しさに、ふたりの成長がシンクロしていく。 やがて、彼らの人生が反転する中で、舞台上で演じられる『鷺娘』がふたりの同一性を浮かび上がらせる。さらに『曽根崎心中』のお初という役を、それぞれが演じることになる展開には、血に刻まれた宿命と、理解への渇望が滲む。 このドラマの見どころは、「血」と「芸」のあいだで揺れる葛藤と、それを背負う覚悟の物語である。 ほとんど隙のない完成度の高い作品だが、ひとつだけ気になる点を挙げれば──人間国宝となった喜久雄に、血のつながる娘(瀧内公美)がカメラを通じて詰め寄る場面には、やや甘さが残るように思える。 「悪魔と契約した」喜久雄を捨てた娘が、最終的に理解を示す流れは、物語として少々都合が良すぎるように感じた。 とはいえ、「国宝」となるほどの努力と犠牲を払ってきた人生を描く本作は、私たち凡人がどれだけ努力しても到達できない──そのような美しさと、そこに潜む恐怖の二重性を見事に描き出している。 多くの俳優が極限の演技を見せ、それをカメラが執拗に、そして丁寧に追い続ける。 このような映画は、昨今の日本映画に失われつつある「伝統」と「覚悟」を思い出させてくれる傑作として、記憶にとどめておきたい。
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