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いもうとの時間
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「人生フルーツ」や「さよならテレビ」などの意欲作を製作する東海テレビに敬意を評したい。キー局の問題などで様々な圧力がある中で、長年取り組んできた「名張毒ぶどう酒事件」の総集編的な作品として本作品を高く評価したい。 とにかくラストが凄まじい。過去に本事件の判決を下した裁判官の写真を並べ、憲法76条3項を(かつて奥西勝さんを演じた)仲代達矢さんのナレーションで読み上げる。 裁判が真実を明らかにする機関だとしたら、このシーンの意味は裁判所が極めて国家権力寄りに位置しているのではないかと疑問を抱かせるものだ。 事件当時の奥西勝さんや裁判官が現場検証するシーンなどが映像として残されているほか、無罪判決をした陪審裁判官の日記や、袴田巌さんの映像なども織り込んでいて極めて興味深い編集となっている。時折挿入される空を飛ぶ鳥や猫の映像、あるいは奥西勝さんのいもうと千代子さんがゲートボールを楽しむ姿は、奥西勝さんが長年拘束されて亡くなったことへのモンタージュとして効果的だ。 まだ未解決のこのドラマは、奥西勝さんがどういう方だったかを示すものだ。一度は無罪判決を経て自由の身となった奥西さんという人物に迫ろうとする。映像には出てこないがこの裏側で、犯人を見つけられない警察が何としても奥西さんを(三角関係のもつれなどを理由に)犯人に仕立てたいという強い意向があることと、墓ごと村から追い出された奥西さんの屈辱を対比させている。日本の国家警察が「推定無罪」などという考えになく、彼らの情報操作で疑いをかけられた人物と家族が虐げられてゆく恐怖をも描いている。 弁護団長が面会に行くとやせ細った奥西さんの手に手錠がかけられていたと語るシーンの痛々しさは、奥西さんが亡くなってご遺体が写されるシーンに重なり合う。もし奥西さんが無罪だとしたら、彼を殺したのは国家だ。我々見る側を含む国家が彼を袋叩きにしたうえ殺したことになる。 そういう意味で、この映画をリリースした東海テレビをはじめ、メディアの姿勢もここでは問われるべきかもしれない。
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