熊本の高校生・香月和也(佐野岳)は「東京は臭い」と同級生にウソをついたことがきっかけで、一人で東京に行くはめになった。初めての東京で財布をなくし、さらには帰りの飛行機に乗り遅れて途方に暮れる和也。そんな折、空港の売店員・田中昌美(杉田かおる)に声をかけられ、彼女の部屋に泊めてもらうことに。だが「泊めてやっているのに気が利かない」と文句を言われ、和也は部屋の片付けをさせられる始末。しかも酔いつぶれた昌美を介抱するうち、静岡で理髪店を営む昌美の別れた夫・秋山荘介(塚本晋也)へのお使いを頼まれる。秋山を訪ねた和也は、そこで昌美と秋山の心の傷を知り、別れ際、秋山から「また、必ず会おう」と言われる。熊本へと帰る道中、和也はデコトラ運転手・柳下吉治(イッセー尾形)に出会うが、下手な嘘ばかりつく和也に柳下が一喝する。「お前のウソには迫力がねえ。ウソの中に生きる覚悟がねえんならウソなんかつくな」少しずつ自分の事を語り始める和也は、いつのまにか笑顔になっていた。しかし、柳下も人には語らない一人旅の理由を抱えていたのだった……。