原光子(仲里依紗)は妊娠9カ月で、子供の父親のアメリカ人と別れ、所持金もなく、行く当てもないままアパートを引き払う。しかし、義理人情を大事にし、粋に生きることを最も重んじる光子は、昼寝すれば大丈夫と楽観的に考えている。光子は、子供のころ夜逃げして両親と暮らした時代遅れの長屋にたどり着く。毒舌だった大家のおばちゃん・清(稲川実代子)は寝たきりで、戦死した夫のもとに行きたがっている。光子は、清の世話をしながら長屋で出産する決意をする。賑やかだった長屋に残っていたのは、閑古鳥の鳴く食堂を経営する、光子の幼馴染の陽一(中村蒼)とその叔父・次郎(石橋凌)だけ。15年前の結婚の約束に責任を感じ光子を想い続けていた陽一は、再会を喜びながらも動揺する。両親に捨てられた自分を育ててくれた次郎に対し、自分だけが幸せになってはいけないと感じていた。一方次郎は、喫茶店“べる”のママ(斉藤慶子)に想いを寄せながら、世話になった清を残してママに想いを伝えることはできないと思っていた。陽一はいつものように清に夕食を届けると、光子に預金通帳を渡し、子供の面倒をみるとタンカを切る。しかし光子は通帳の残高を見て、自分が店の面倒をみると切り返す。翌日から、光子は客引きを始める。次第に光子の人柄を慕う客で食堂は繁盛し始める。そうするうち、ママが店を閉め、病気の母親がいる福島に帰ろうとする。しかし次郎は引き留めることもできない。じれったく思った光子は、みんなで福島へ行こうと提案する。そこに、また夜逃げした光子の両親がやって来る。混乱のなか、光子の号令で一同は昼寝をすることに。その数分後、思いもよらないことが起こる。