東京から九州の片隅にある小島、火蜥蜴島に引っ越して来た西表耶麻子(川島海荷)は16歳の高校生。火山があり人口も少なく、耶麻子が通う火蜥蜴島高校も生徒数は100人ほど。きれいな夕焼け、温かい人たち。耶麻子はすぐにこの島を好きになったが、いちばんの理由は南愛治先輩(入江甚儀)に会えることだった。何度も何度も書き直したラブレターは、ポケットの中で賞味期限切れ。学校ですれ違うだけで耶麻子の心はPOPに弾む。その想いを誰にも邪魔されないように、耶麻子は自分の宝箱の中に詰め込んでいく。生まれつき心臓が悪い彼女は、体育の授業で1人ぽつんと見学しているときも、人ごみの中を1人で歩くときも毎日そんな風に妄想しながら過ごしている。だが、耶麻子には、クサくてウザくてキモい不破先輩(金田哲)という天敵がいた。自分の夢見る世界に、彼だけは実写で存在しているのだ。しかも、耶麻子と不破はたった2人きりの体操部部員。全員が部活動に入らなければならないという校則に従い、楽チンだと思って選んだ体操部だったが、部員はよりによって不破1人。不破は耶麻子の身体の弱さを完全無視、耶麻子は彼のスパルタ指導におびえる日々が続いていた。そんなある日、耶麻子は不破にラブレターを拾われ、南を好きなことがばれてしまう。しかも勝手に“南先輩への告白大作戦”を始めるという。耶麻子にとっては最悪の事態だったが、夏祭りに向けて“タコ焼き大作戦”と名付けられたその筋書きを不破から聞いているうちに、耶麻子も段々とその気になってくる。クラスの中で、耶麻子が唯一優越感を持って接することのできる地味でイジメられっ子の喜久子(児玉絹世)をも巻き込んで、一世一代の大勝負。順調に楽しく練習は進み、毎日南に会えるようになった耶麻子は全てがバラ色に見えてきた。自分の心臓が悪いことも忘れてしまったようにはしゃぐ耶麻子だったが、ある日、喜久子から衝撃の事実を知らされる……。