時は一万年後。とある民家に突如、電光とともに一人の男(阿藤快)が現れる。だが、民家に住む少年、正一(田村勇馬)や妹の淳子(遠藤恵里奈)は、自分たちの叔父だと名乗るその怪しい男の登場にも動じない。それどころか、ほとんど気にかけることもなく、それも日常だと言わんばかりに受け入れてしまう。一万年後の世界に突然送り込まれたことで事情が飲み込めない男は、少年・正一との会話によって、いかにこの世界が変わり果てたかを理解していく。正一の家に飾ってあったコケシを手にしてみれば、それはすでに“コケシ”という呼び名ではなくなっており、日本の国もとっくに消滅。アメリカに至っては、もはや海上の一握りの砂と化し、窓外には人喰い怪物が行き交う。だが、電波や音波が飛び交い、時間の進行に異常をきたした“一万年後”の部屋は次第に、単に世界が変わったとは言い切れない複雑な様相を呈し始め、男の存在を揺るがしてゆく……。