1972年。ハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は、20歳年下のスコット・スミス(ジェームズ・フランコ)と恋に落ちる。サンフランシスコへ引っ越した2人は“カストロ・カメラ”という名のカメラ店を開業。社交的性格のミルクを慕って、店には周囲の同性愛者やヒッピーたちが集まるようになる。やがて、彼らを快く思わない保守的なカトリックの住人たちに対抗するため、ミルクは新しい商工会を設立。“カストロストリートの市長”と呼ばれるようになる。1973年11月、ミルクはサンフランシスコ市の市政執行委員に立候補。同性愛者を含む全ての人間の権利と機会の平等を訴えるが落選。2年後も落選するが、市長に当選したモスコーニ(ヴィクター・ガーバー)の知己を得る。政治的活動の幅を広げていくミルクだったが、恋人スコットとの間には別れが訪れる。1977年、3度目の立候補で初当選。同性愛者であることを公言して当選した米国史上初めての公職者の誕生だった。委員に就任したミルクは、同性愛者の教師をその性的指向を理由に解雇できるとする“プロポジション6号”の住民投票を巡って争うことになる。全米で同性愛者の権利剥奪が進む中、カリフォルニアでこれが成立すれば、同性愛者だけにとどまらず、全ての社会的弱者に対する差別が拡大していく恐れがあった。信念を持って反対運動を繰り広げるミルク。賛成派との熾烈な戦いの下、元大統領カーターや現職大統領レーガンの賛同も取り付け、見事否決を勝ち取る。1978年11月27日。辞意撤回がモスコーニ市長に拒否された同僚の市政執行委員ダン・ホワイト(ジョシュ・ブローリン)が拳銃を手に市庁舎へ侵入。市長とミルクを射殺した。享年48歳。委員就任後、わずか11ヵ月の出来事だった。同性愛者だけでなく、サンフランシスコの3万人を越える市民がカストロ地区から市庁舎までを行進し、その死を悼んだのであった。