海辺の町で暮らす宗介(声:土井洋輝)は、クラゲたちに乗って家出してきた魚の子であるポニョ(奈良柚莉愛)と出逢う。ジャムの瓶に身体を突っ込んでいたポニョを救った宗介は、瓶を割ることで指に傷を負うが、その血を舐めることでポニョは新たな生命力を得る。宗介は、崖の上にある一軒家に母のリサ(山口智子)と暮らしていた。父の耕一(長嶋一茂)は内航貨物船の船長であり、家を空けることが多かった。そんな船上の父とのコミュニケーションは、電灯信号で行われていた。5才の宗介は保育園に通い、リサは隣の老人介護院である「ひまわりの家」で働いていた。車椅子で生活するヨシエ(奈良岡朋子)や偏屈なトキ(吉行和子)も、宗介にとっては祖母のような存在だった。宗介のやさしさに触れたポニョは、彼のことが好きになる。しかし、父であるフジモト(所ジョージ)によって、ポニョは海の底へと連れ戻されてしまう。かつては人間だったフジモトも、いまでは海の住人として世界の均衡を守る立場にあった。人間になりたいと願うポニョは、妹たち(矢野顕子)の力も借りて魚から人間へと進化した。そして再び、宗介のいる人間の世界を目指す。そんなポニョの振る舞いから、危険な力を持つ生命の水が巻き散らされる。海は荒れて嵐が起こり、宗介の町も海中へ水没した。それは、月の接近による世界のバランス崩壊の危機でもあった。海中に沈みながらも結界に守られた「ひまわりの家」では、ヨシエさんたちが自力で走ることができる理想郷となっていた。それは、ポニョの母であり、海の神でもあるグランマンマーレ(天海祐希)の力だった。耕一もまた、海の異変の中を逞しく生きていた。宗介との再会を願うポニョは、いつしか少女の姿に変わる。そして、ようやく巡りあった宗介に抱きつくポニョ。新しい世界が、ここから始まる。