幼い頃からクルマにしか興味を持てなかったスピード(エミール・ハーシュ)は、レースカーの設計師である父のレーサー(ジョン・グッドマン)や母(スーザン・サランドン)や弟と、そして恋人トリクシー(クリスティーナ・リッチ)らに囲まれて、幸福なレーサー生活を送っていた。ただひとつのトラウマは、8年前にラリーのレース中に事故で他界した兄のことだった。伝説的なレーサーだった兄の薫陶を受けて、スピードはクルマの魅力に取り憑かれたのだ。そして現在も、兄の残した記録を超えることはできなかった。そんなスピードの技術に目をつけたローヤルトン(ロジャー・アラム)は、契約レーサーとなるよう誘いをかけてくる。大企業のオーナーであるローヤルトンは、レース界でも絶大な権力を持っていた。しかし、父が経営する小さな製作所に愛着のあるスピードは、そのオファーを断った。激怒したローヤルトンは、レース業界の恐るべき内幕を暴露する。メジャーなレースでは、権力者たちに操られたレーサーたちが不正な結果を出し、そのバックの企業が株式取引で莫大な富を得ているというのだ。それを聞いて、スピードは気がつく。兄は、その不正と闘っていたのだと。腐ったレース界の正体を暴くため、父の反対を押し切ってカーサ・クリスト・ラリーに出場するスピード。あらゆる反則でスピードを邪魔しようとする他のクルマの中、覆面をしたレーサーXだけが味方となってくれた。レーサーXの正体は、もしかして兄ではないかとスピードは考え始める。カーサ・クリスト・ラリーで勝利したスピードは、ローヤルトンに大きなダメージを与えた。そして、スピードはグランプリの出場権を得て、そこでも優勝を飾る。 チャンピオンとなったスピードを、レーサーXが見守っていた。やはり彼は、兄だったのだ。レース界の不正を暴いたスピードには、新たなレーサー人生を歩み始める。