女性編集者・倉田真理(宮地真緒)は、憧れの人気作家・今野佳子(小沢真珠)の担当となる。佳子は、ここ数年新作を発表していない。上司である編集長・小原(板尾創路)は、真理に、佳子に新作を書かせることを命じる。小原は更に、佳子に対するある疑問を語った。佳子にはゴーストライターがついているというのである。佳子は、以前、大作家・大河内俊作の弟子であった。しかし、弟子というのは表向きで、実際には、大河内の変態的な性欲を満たす相手をしていたにすぎない。ある時、大河内が失踪したことをきっかけに、小原は、大河内の後を継ぐ者として佳子を抜擢した。佳子には、才能はなかったが、その美しさは充分に注目を集めた。そして、佳子は、大河内を凌ぐ人気を獲得したというのである。佳子の実力は、佳子自身のものではない。その疑いを胸に、佳子の家を訪れる真理。すると確かに、一人暮らしのはずの佳子の家に、誰かの気配がする。疑いが確信に変わったのは、普段から佳子が座っている椅子に腰掛けさせられた時だった。ただの椅子とは思えない座り心地に、真理は、誰かが、椅子の中に隠れているのではないか、と思い始める。更に真理は、その正体が大河内であると考え、佳子ではなく椅子の中にいる大河内に新作を書かせようと思いつく。