ここは突飛な想像と空想に満ちた新世界精神クリニック。ある日、新しい患者が入ってくる。少女の名はヨングン(イム・スジョン)。なぜか自分のことをサイボーグだと信じている。でも仕事が忙しいヨングンの母親は自分の娘がビョーキだとは認めたくない。そんなヨングンに目を止めたのは、同じ年頃のイルスン(チョン・ジフン)。『人のもの』なら特徴でもなんでも盗むことができるイルスンに、ヨングンはお願いする「盗んでください、私の同情心を。殺したいのに殺せない気持ち」。わけがわからないイルスンは、しばらくヨングンの行動を観察することにした。ヨングンを観察するうちに彼女のパワーダウンの原因がわかった。サイボーグはご飯を食べると機械が壊れると信じこんで、電池を舐めているだけだったのだ。イルスンの悩みといえば、いつか自分がこの世から消滅してしまうこと。それがコワくて盗みを続けていた。そんな境遇のイルスンは、誰よりもヨングンの気持ちがわかった。足りないのはご飯だけではないかもしれない。ヨングンが自由に移動できるよう[睡眠飛行法]を盗み、落ち込んでいるヨングンを歌で励ますためにヨーデルの歌唱力を盗む。そしてヨングンの代わりに悲しみを感じるために、特別にヨングンの同情心を盗んであげる。「同情心をもらいます。さあ、伝達!」イルスンとのキスで[充電]したおかげで、ヨングンの顔にほほ笑みが浮かぶようになり、食べることを想像しはじめた。サイボーグとして失格と思いながらも、イルスンに惹かれていくヨングン…。ヨングンは、自分はサイボーグだと主治医の先生に打ち明けた。この告白は、イルスン以外に初めてのことだった。先生はそっと肩を抱いてくれて「つらかったでしょ」と言ってくれる。ヨングンとイルスンは、自分たちが[存在している理由]がどうしても知りたくて、嵐の夜に出かけていく。