映像カメラマンの増岡(塚本晋也)は、身のまわりの風景を意識的に、または無意識的に撮影し、それを編集することを日常としていた。そこには現実か否か、たしかに増岡自身にしか見えないものが存在するかのようだった。汚職事件の取材中、自殺騒ぎの現場に出くわした増岡は、ひとりの男がナイフで自らの左眼を貫いて死ぬ瞬間を、偶然にも撮影する。独占スクープとしてテレビで放映された映像を観ながら、増岡は自殺した男が死の瞬間、ある一点を凝視し、「なにか」に異様に脅えていたことに心を奪われる。やがて、現実とも幻想ともつかない異界にさ迷いこんだ彼は、少女(宮下ともみ)の姿をした<稀人>と出会い、その飼育を始める。