古くからの習わしにより、少年全員が同じ“吉野ガリ”なるマッシュルーム・カットにさせられている田舎町。その散髪を一手に引き受けているのが、町で唯一の床屋である“バーバー吉野”のおばちゃんこと吉野良子。吉野ガリの伝道師である彼女は、町の子供たちの行動にも常に目を光らせている。そんな彼女の息子で小学生の慶太のクラスに、ある日、東京からの転校生・坂上くんがやって来た。町の伝統に異議を唱え、自分のヘアスタイルを貫き通す坂上くん。彼と親しくなった慶太とその仲間であるヤジ、カワチン、グッチは、次第に彼に感化されていくのだが、それに気づいたおばちゃんによって、坂上くんも吉野ガリにされてしまう。そこで、彼らは脱・吉野ガリを宣言。祭りの日、町の人たちの前で髪型の自由を訴えると、果たして他の少年たちもそれに賛同する声をあげてくれた。しかし、慶太の胸中は複雑だった。「吉野ガリはまっぴらだけど、お母さんがみんなの敵になるのも嫌だ!」 翌日、5人の願いは通じ、吉野ガリは廃止されることとなった。そして、一度は淋しい思いをしたおばちゃんも、今は元気に町の人の髪を切り続けている。