18本の映画と1億円の借金を残して解散した小川プロダクション。共同生活を通して映画を製作するという世界に類を見ないスタイルで、作品を世に送り続けて来た映画集団だ。そして、強烈なカリスマ性でそのメンバーを統率したのが監督・小川紳介。没後10年を経ようとした今、作品の中で元スタッフたちや小川プロに縁のある人々が、小川監督と小川プロについて本音を語り始める。そこから見えてくるものは、小川紳介と小川プロという神話の解体に他ならない。製作資金、スタッフの無名性、小川プロ内での女性の立場、ホモソーシャルな関係、家族・生活、セックスの問題などなど、作品の裏側に隠れていた愛憎に満ちた証言が次々とされ、果ては小川監督が自分の生き易いように経歴を詐称していたことまで明らかになっていく。