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肖像

  • しょうぞう
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  • 平均評点

    72.7点(43人)

  • 観たひと

    56

  • 観たいひと

    13

  • レビューの数

    11

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1948
公開年月日 1948/8/3
上映時間 73分
製作会社 松竹大船
配給 松竹・大船
レイティング 一般映画
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ/スタンダード
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル
上映フォーマット 35mm

スタッフ

監督木下恵介 
脚本黒澤明 
製作小倉武志 
撮影楠田浩之 
美術小島基司 
音楽木下忠司 
録音大野久男 
照明豊島良三 

キャスト

出演井川邦子 ミドリ
小沢栄太郎 金子
藤原釜足 玉井
菅井一郎 野村
東山千栄子 野村妻君
桂木洋子 娘陽子
安部徹 息子一郎
三宅邦子 嫁久美子
佐田啓二 中島
三浦光子 芳子

解説

製作は「誘惑(1948)」「女」「わが生涯のかがやける日」の小倉武志で、東宝の「酔いどれ天使」の脚本(植草圭之助と協同)及び演出をした黒澤明が脚本を書き「女」につぐ木下恵介が監督する。撮影も「女」の楠田浩之が担当する。主演は「秘密(1948)」の井川邦子、小沢栄太郎でそれに「面影」(東宝)の菅井一郎、「富士山頂(1948)」(新東宝)の三宅邦子「不死鳥」「旅裝」の佐田啓二、ニューフェイスの桂木洋子が第一回出演する。

あらすじ

ミドリは若いお妾であった。その旦那の金子は家屋売買のブローカーで、商売友達の玉井と二人で、格安なアトリエつきの家を買った。だがその家には老画家の野村一家ががんばっている。金子も玉井もこれには手こずったが結局野村が二階の一間をあけるというので、野村を追い出す算段のため金子がその室に入ることになった。引越しの日、ミドリはふてくされていたが、意外にも野村一家の人たちから「お嬢さん」として迎えられ、やむなく金子とミドリは父娘として住みこんでしまう。下のアトリエに住む野村一家とは野村画伯とその細君、明るい娘陽子、まだ復員しないせがれ一郎の妻久美子とその子英一たちで、だれもかれも今の世にめずらしい善人であった。その人たちの中でミドリはいつか貧しいけれど明るい健康な生活に対するあこがれににたものが胸にひろがり、今まで濃いルージュをぬったくちびるに煙草をくわえていた様な彼女が形だけでもお嬢さんらしく振舞うことに、かすかな人間的なよろこびを感じるのだった。そうしたある日、野村から肖像を描かせてくれと懇望されたミドリは野村の澄んだひとみの中で自分の本当の姿が見破られることを怖れたが、とうとう承諾してしまう。ミドリの肖像画は野村の異常な情熱の中で進行した。だがミドリは一人の娘としてモデルになっていることが次第に苦痛になってきた。それはウソの皮にとじこめられた良心的な苦しみであったのだ。とくに陽子とその恋人中島青年の明るい交際を目の前にみて、同じ年ごろである自分の心のうらぶれに耐えられなくなり、モデルもやめ、この家もとび出していこうと金子にせがむ。やはり彼女は肩の張らない自だらくな生活がいいと思うのだ。その日お妾友だちの芳子のアパートで酒をのみ、酔って家へ帰るミドリは、もうお嬢さんの皮をかぶっていることをかなぐりすてて、「わたしはお嬢さんじゃないよお妾だい……」とうつろにわめくのだった。アトリエに帰って「肖像」の前に立ったミドリは「こんなとりすました奴は殺してしまうんだ」とパレットナイフで突き破ってしまおうとする。だが久美子がこれをみてはげしくミドリにいうのだ--あなたは強く生きることを怖がっているのです、私が貴女だったら自分にナイフをつき刺します--そのことばに、ミドリはわあっとなき出してしまう。翌朝、ミドリは姿を消していた。彼女はうそのない強い生き方を求めていったのだ。--その年の秋の展覧会に、野村画伯の「肖像」はすばらしい好評であった。会場でその「肖像」をじっとながめているのはかみの毛を無雑作にたばね、心持ちやせてはいるが、何かりん然としたミドリの姿であった。

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